派遣市場

国内の市場規模や動向、業界の最新情報を紹介します。

更新日:2026.07.01

1. 市場規模・成長性

市場規模(人数)

派遣労働者の人数(労働力人口に占める派遣労働者の割合)
※労働力人口 = 就業者(実際に働いている人)+ 完全失業者(仕事はないが、探している人)

2020年度:約193万人(2.80%)
2021年度:約209万人(3.03%)
2022年度:約215万人(3.12%)
2023年度:約212万人(3.06%)
2024年度:約220万人(3.16%)

※割合は各年度の労働力人口を基に算出
2020年度:約6,902万人
2021年度:約6,907万人
2022年度:約6,902万人
2023年度:約6,925万人
2024年度:約6,957万人

参考文献

・「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

市場規模(売上)

年間売上高、派遣料金、派遣労働者の賃金はいずれも増加傾向にあり、事業拡大と待遇改善が進んでいます。
労働者派遣事業の年間売上高
2022年度: 8兆7,646億円
2023年度: 9兆500億円
2024年度: 9兆9,005億円

派遣料金(8時間換算)(平均)
2022年度: 24,909円
2023年度: 25,337円
2024年度: 26,257円

※「派遣料金」は、労働者派遣の対価として派遣先から派遣元事業主に支払われるものです。 また、派遣料金は、消費税を含む額の記載です。

派遣労働者の賃金(8時間換算)(平均)
2022年度: 15,968円
2023年度: 16,190円
2024年度: 16,735円

参考文献

・「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

売上高の推移

労働者派遣事業の売上高推移
2000年度:1兆6,717億円 派遣対象業務の原則自由化(ネガティブリスト化)
2001年度:1兆9,462億円
2002年度:2兆2,472億円
2003年度:2兆3,615億円
2004年度:2兆8,615億円 製造業務への派遣解禁
2005年度:4兆351億円
2006年度:5兆4,189億円
2007年度:6兆4,652億円
2008年度:7兆7,892億円 リーマンショック前
2009年度:6兆3,055億円 リーマンショック発生
2010年度:5兆3,211億円
2011年度:5兆2,493億円
2012年度:5兆2,409億円 規制強化(日雇派遣禁止、グループ内派遣規制)
2013年度:5兆630億円
2014年度:5兆4,377億円
2015年度:5兆5,734億円 改正労働者派遣法施行(許可制への一本化、雇用安定措置・キャリア形成支援の義務化)
2016年度:6兆3,526億円
2017年度:6兆1,774億円
2018年度:6兆619億円
2019年度:6兆9,503億円
2020年度:7兆6,477億円
2021年度:8兆2,363億円
2022年度:8兆7,646億円
2023年度:9兆500億円
2024年度:9兆9,005億円

参考文献

・「労働者派遣事業の事業報告の集計結果について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

2. 賃金・待遇の実態

平均賃金(日額・時給)

派遣労働者の平均賃金(2024年度)
16,735円/日(約2,092円/時) ※1日8時間労働を想定
・有期雇用派遣労働者
14,407円/日(約1,801円/時)
・無期雇用派遣労働者
17,181円/日(約2,148円/時)

<補足>
派遣料金(2024年度)
26,257円/日(約3,282円/時) ※1日8時間労働を想定
・有期雇用派遣労働者
22,226円/日(約2,778円/時)
・無期雇用派遣労働者
27,063円/日(約3,383円/時)

参考文献

・「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

3. ビジネスモデル

派遣料金の構造

派遣料金とは、派遣先(派遣先企業)が派遣元(派遣会社)へ支払う費用のことです。
全額が派遣労働者の給与になるわけではなく、派遣料金は「派遣労働者へ支払われる賃金」と「派遣元のマージン」に分かれています。

派遣労働者に支払われる賃金は、労使協定または派遣先の同種の業務に従事する労働者との均等・均衡を考慮して決定されます。

マージンとは

派遣料金には、上述の通り、派遣労働者へ支払われる賃金のほかに「派遣元のマージン」が含まれます。
マージンの全てが派遣元の利益になるわけではなく、社会保険料や教育訓練費等、労働者派遣事業を運営するための様々な費用に充てられています。派遣料金に占めるマージンの割合を「マージン率」といいます。

<補足>
一般的に、マージン率が高い派遣元は「派遣元の利益確保を優先している」と見なされがちです。しかし、マージンには社会保険料や教育訓練費等も含まれているため、マージン率が極端に低い派遣元の場合、教育・福利厚生・就業フォローといったサポート体制が十分でない可能性もあります。また、常用型派遣(正社員型派遣)を主とする派遣元では、派遣労働者の雇用を継続的に維持するためにコストがかかります。そのため、登録型派遣を中心とする派遣元と比べて、派遣料金や賃金の平均額、マージン率は高くなる傾向にあります。

4. 働き方の実態

登録型 vs 常用型

登録型派遣(有期雇用派遣)と常用型派遣(無期雇用派遣)の違い

・派遣元における雇用形態
登録型:
派遣先が決まっている間だけ派遣元と雇用契約を結ぶ形態です(有期雇用)。
派遣期間が終わると同時に派遣元との契約も終了します。
常用型:
派遣元に正社員または契約社員として常時雇用される形態です。
派遣先に就業していない間でも給与が発生します。

・派遣先(同一部署)での就業可能期間
登録型:原則最長3年
常用型:3年以上も可能

・利用目的
登録型:短期的な人材補充
常用型:専門性の高い業務や長期間の業務への人材活用

登録型派遣のメリット
(派遣先側)
・様々な登録者がおり、短期・単発、短時間業務も依頼しやすい
・登録者数が多く、即戦力となる人材の提案を受けやすい
(派遣労働者側)
・希望の派遣先(就業場所・職種等)を自ら選びやすい
・ライフステージに合わせた働き方・勤務時間を選択できる
・長期・短期・単発等、働く期間を柔軟に選べる
・即日スタート等、早く働き始めやすい

登録型派遣のデメリット
(派遣先側)
・労働者派遣法により、同一の派遣労働者を同一組織単位で3年以上受け入れられない(例外の場合、期間制限はありません)
・長期的視点での教育や組織づくりが行いにくい
(派遣労働者側)
・基本的に派遣契約と雇用契約が連動しているため、仕事がないときは雇用契約もなくなる等、収入が不安定になりやすい
・常用型派遣を中心とする派遣元よりも教育訓練体制の内容が制限される場合があり、自らスキルアップに取り組む必要がある
・同じ組織単位で就業できる期間は、原則として最長3年までに制限される
・時給制の場合、勤務日数や時間によって収入が変動する

常用型派遣のメリット
(派遣先側)
・労働者派遣法による就業期間の制限(3年)がないため、長期的な就業が期待できる
・一定期間の教育が必要な業務も対応しやすい
・常用型派遣の人材を前提にした組織体制を組みやすい
(派遣労働者側)
・派遣先との契約終了後も派遣元との雇用が継続するため、雇用が安定しやすい
・月給制の場合が多く、収入が安定しやすい
・派遣契約のない待機期間中も給与が支払われる
・長期的なキャリア形成のための教育訓練を実施している派遣元が多い
・同じ職場で長期間働き続けられるため、人間関係を構築しやすく、専門性を高めやすい

常用型派遣のデメリット
(派遣先側)
・常時雇用している労働者数に限りがあり、人材提案の幅が限定されることがある
・登録型派遣を中心とする派遣元と比べ、即戦力の人材数が限定的である場合がある
(派遣労働者側)
・派遣元から指定された派遣先に配属されるため、職場や仕事を自ら選びにくい
・転勤を伴う異動を命じられることがある
・短期・単発等、柔軟な働き方はしにくい場合がある

5. 課題・論点

不安定雇用問題

雇用安定措置とは、派遣労働者が安定して就労できるよう、労働者派遣法に基づき派遣元に課されている措置のことです。
同一の組織単位での派遣就業が3年を超える見込みであり、継続して就業を希望する有期雇用派遣労働者に対して、派遣元には雇用安定措置を講じる義務が課せられます。また、同一の組織単位で1年以上3年未満の就業見込みがある場合にも、雇用安定措置を講じる努力義務があります。

雇用安定措置として、派遣元は以下4つのうちいずれかの措置を取る必要があります。
・派遣先への直接雇用の依頼(第1号措置)
・新たな派遣先の提供(第2号措置)
・派遣元での無期雇用(第3号措置)
・その他の安定した雇用の継続措置(第4号措置)
 有給での教育訓練の実施、契約期間終了後に直接雇用されることを前提とした「紹介予定派遣」の実施 等(※1)

■雇用安定措置の実績(令和6年度)(※2)
対象派遣労働者数:1,130,707人
うち3年見込みの労働者数:92,809人
※うち3年見込み:派遣先の同じ職場への派遣期間が報告対象期間に3年となることが見込まれ、かつ当該労働者派遣の終了後も継続して就業することを希望している者をいいます。
3年見込みの労働者のうち、各措置を講じられた人数は以下の通りです。

(第1号措置)21,495人(23.2%) ※第1号措置のうち、派遣先で直接雇用された労働者:9,174人(42.7%)
(第2号措置)48,451人(52.2%)
(第3号措置)7,183人(7.7%)
(第4号措置)9,822人(10.6%)

3年を超える派遣就業が見込まれる労働者に対しては、「新たな派遣先の提供(第2号措置)」が最も多く、全体の約半数(52.2%)を占めています。一方で派遣先への直接雇用依頼は約2割(23.2%)と低く、またそのうち派遣先で雇用された労働者は半分以下(42.7%)となっています(2024年度時点)。

参考文献

(※1)「雇用安定措置について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
(※2)「令和6年度 労働者派遣事業報告書の集計結果(速報)」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

偽装請負・違法派遣問題

(1)偽装請負とは(※1)
「偽装請負」とは、契約上は請負契約・委任契約・業務委託契約等の形式を取っているものの、実態としては労働者派遣に該当する状態を指します。
請負契約では、受託者が労働者に対して指揮命令を行うことが前提となっています。一方、労働者派遣では、派遣先企業が労働者へ指揮命令を行います。
そのため、
・発注者から直接業務指示を受ける
・出退勤や勤務時間を管理される
といった状況がある場合、実態としては労働者派遣と判断され、「偽装請負」に該当する可能性があります。
労働者派遣と請負とでは、労働者の安全衛生の確保や労働時間管理等に関して、雇用主(派遣元事業主、請負事業者)、派遣先、注文主が負うべき責任がそれぞれ違います。このため、業務の遂行方法について労働者派遣か請負かを明確にし、それに応じた安全衛生対策や労働時間管理の適正化を図ることが必要です。

(2)問題視される背景
偽装請負が日本中で大々的に報じられる決定打となったのが、2006年に発覚した自動車部品関連企業における偽装請負事件です。
ある労働者が自動車部品工場で請負として契約していましたが、実際には正社員から直接指示を受けていました。実質的な「違法派遣」です。労働者の告発により、労働局が是正指導を出したことでメディアが一斉に報道し、社会問題化しました。これを機に、大手製造メーカーでも次々と偽装請負が発覚しました。

(3)偽装請負の主なパターン(※1)
・代表型
請負契約であるにもかかわらず、発注者が労働者へ直接業務指示や勤怠管理を行うパターンです。
・形式だけ責任者型
形式上は現場責任者を置いているものの、実態としては発注者の指示をそのまま伝達しているだけのパターンです。
・使用者不明型
多重下請け構造の中で、誰が実際の使用者・指揮命令者なのか不明確になっているパターンです。
・一人請負型
個人事業主契約を締結しているものの、実態としては労働者と同様の働き方になっているパターンです。

参考文献

(※1)「偽装請負について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

6. 近年の動向

DX・IT需要の増加

労働者派遣事業では、構造的な人手不足を背景に、IT・DX領域への需要が強まっています。特に技術者派遣は、従来の製造・事務系中心からデジタル領域へと比重を移しつつあります。
背景には、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)投資の加速があります。企業は基幹業務のクラウド化やデータ活用、業務の自動化を進めており、それに伴いシステム開発や運用を担う人材需要が拡大しています。需要の拡大に反して、日本ではIT人材の供給不足が続いています。経済産業省の推計では、2030年には最大で約79万人のIT人材が不足する可能性があるとされます。この需給ギャップが派遣・技術者派遣の活用を後押ししています。
こうした流れの中で、技術者派遣は単なる「人材補充」の手段からDX推進を支える実務基盤へと位置づけを変えつつあります。企業は短期的な欠員補充だけでなく、変革プロジェクトを支える即戦力人材として派遣人材を活用する傾向を強めています。

派遣から紹介へのシフト

労働者派遣市場では、派遣から直接雇用を前提とした「有料職業紹介」や「紹介予定派遣」へのシフトが進んでいます。背景には、企業側と労働者側の双方で「雇用の安定」と「採用の精度」を重視する傾向の強まりがあります。
厚生労働省の職業紹介事業報告書によると、令和5年度の有料職業紹介事業における常用就職件数は約92万件であり、前年度比4.8%増加しています。また、常用求人数は約1,789万人となっています。これらの数値は、直接雇用を前提とした採用市場が拡大していることを示しています。
こうした動きの背景には、いくつかの要因があります。第一に、企業の人手不足が慢性化し、単なる一時的な労働力確保ではなく定着を前提とした採用ニーズが高まっている点があります。第二に、採用後のミスマッチが経営リスクとして認識されている点です。こうした中で、事前に適性を見極める手段として紹介型サービスの活用が広がっています。また、労働者側でも「長期雇用」や「キャリア形成」を重視する意識が強まり、派遣という働き方よりも最初から直接雇用を志向する傾向がみられます。こうした需給の変化が、労働者派遣市場の利用傾向の変化につながっています。
労働者派遣事業は単なる「人の供給」から「定着を前提としたマッチング」へと重心を移し、採用の在り方は量の確保だけでなく質の確保も重視されるようになっています。

参考文献

・「令和6年度職業紹介事業報告書の集計結果(速報)」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)