派遣法

労働者派遣法の概要や法改正、実務上のポイントを解説します。

更新日:2026.06.23

1. 契約・仕組み

派遣と請負の区分

■派遣
派遣とは、派遣元と派遣先が労働者派遣契約を、派遣元と派遣労働者が雇用契約をそれぞれ締結し、派遣元が派遣労働者を派遣先へ派遣する業務形態です。派遣労働者への指揮命令権は派遣先にあり、派遣労働者は派遣先の指示する就業場所で業務を行います。派遣元と派遣労働者の間に雇用関係があるため、派遣元が派遣労働者の労務面を管理する責任があります。派遣契約には契約期間に関する取り決めが数カ月単位で明確に定められており、上限は3年です。

■請負
請負とは、企業が特定の業務や成果物を外部の請負会社に依頼する業務形態です。請負契約においては、依頼した企業が労働者に直接指示を出すことはなく、請負会社が労働者の業務管理を行います。請負契約は、労働そのものではなく「業務の完成(成果物の納品)」に対して対価が支払われることで契約が完結します(民法第632条)。

「請負」と「派遣」の関係性の違いは、厚生労働省の「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(告示第37号)」によって明確に区別されています。
この基準に基づくと、派遣先から見て、以下の基準に該当する実態がある場合は、契約名が「請負」であっても、法的には「派遣」とみなされます。

(1)派遣先が、労働者に対して直接「指揮命令」を行っている場合
・業務の進め方に関する指示や管理、労働の評価を行っている
・始業・終業時刻、休憩、休日、休暇の決定や管理、残業の命令を行っている
・労働者の配置(メンバーの決定や変更、就業場所の変更等)を行っている
・職場の規律(ルール)を適用したり、違反に対する処分を行っている

(2)相手方の会社が「事業主としての独立性・責任」を持っていない場合
・労働者の給与資金を、相手方の会社が自らの責任で調達・支給していない
・業務に必要な機械、器具、設備、資材等を、相手方の会社が自らの責任と費用で準備していない
・相手方の会社が自ら企画を立てず、または専門的な技術や経験を発揮して仕事を完成させていない

参考文献

・「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

書面交付義務

派遣契約においては、派遣元・派遣先のそれぞれに、法令で定められた事項を書面により明示・交付する義務があります。

(1)労働者派遣契約書
派遣元と派遣先は、労働者派遣契約の締結にあたり、法定事項を定めた契約書を作成しなければなりません。

主な記載事項
・派遣労働者の業務内容
・派遣先の名称および所在地、組織単位
・指揮命令者の役職・氏名
・派遣元/派遣先責任者の役職・氏名
・派遣期間
・就業時間、休憩時間、休日
・派遣労働者の人数
・安全衛生に関する事項
・苦情処理に関する事項
・福利厚生に関する事項

(2)派遣先通知書
派遣元は、派遣先に対し、就業開始前に実際に派遣されることになる派遣労働者について通知しなければなりません。

主な記載事項
・派遣労働者の氏名・性別
・派遣労働者が45歳以上である場合にはその旨
・派遣労働者が18歳未満である場合には実年齢
・派遣労働者が60歳以上であるか否かの別
・無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者であるかの別
・派遣労働者にかかる健康保険・厚生年金保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無(提出がない場合には具体的な理由)

(3)労働条件通知書
派遣元は、派遣労働者に対し、就業開始前に労働条件を書面により明示しなければなりません。

主な記載事項
・派遣労働者の就業場所
・派遣労働者の業務内容
・契約期間
・就業時間、休憩時間、休日
・賃金の決定・計算・支払方法
・派遣先の名称
・指揮命令者の役職・氏名

(4)就業条件明示書(派遣就業条件明示書)
派遣元は、派遣労働者に対し、就業開始前に派遣就業に関する条件を書面により明示しなければなりません。

主な記載事項
・派遣労働者の業務内容、責任の程度
・派遣先の名称および所在地、組織単位
・派遣期間および抵触日
・指揮命令者の役職・氏名
・派遣先責任者の役職・氏名
・苦情処理に関する事項
・安全衛生に関する事項
・福利厚生に関する事項

参考文献

・「派遣元・派遣先が備えるべき書類及び通知する書類 モデル例」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

2. 義務(派遣元・派遣先)

派遣労働者に対するキャリアアップ措置

派遣元は、雇用する派遣労働者が、派遣就業に必要な技能および知識を段階的・体系的に習得できるよう、教育訓練を実施しなければなりません(労働者派遣法第30条の2)。派遣労働者から希望があった場合は、職業生活の設計に関する相談機会の確保等の援助を行う必要があります。また、無期雇用派遣労働者については、職業生活の全期間を通じて能力を有効に発揮できるよう配慮する必要があります。派遣労働者のスキル向上・キャリア形成や、待遇改善につながる教育機会の確保を目的としています。
2015年9月の労働者派遣法改正により、派遣元には、派遣労働者に対する段階的・体系的な教育訓練の実施が義務付けられました。また、2020年4月の労働者派遣法改正により、同一労働同一賃金への対応として、派遣先にも、一定の場合に教育訓練の実施に関する対応が求められるようになりました。

■教育訓練の要件
派遣元は、以下の要件を満たす教育訓練計画を作成し、その計画に沿って教育訓練を行う必要があります。
・派遣元に雇用されている派遣労働者全員を対象とすること
・有給かつ無償で実施すること
・派遣労働者のキャリアアップに役立つ内容であること
・入職時の訓練を含むこと
・無期雇用派遣労働者には、長期的なキャリア形成を念頭に置いた内容とすること

■教育訓練の時期・頻度・時間数等
・雇用開始後、少なくとも最初の3年間は毎年1回以上実施
・フルタイムで週40時間勤務する場合、毎年おおむね8時間以上実施

参考文献

・「派遣元事業主の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

就業条件明示義務

派遣元は、労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ派遣労働者に対し、就業条件等を明示しなければなりません(労働者派遣法第34条第1項)。

■明示すべき主な事項
(1)派遣労働者が従事する業務の内容
(2)派遣労働に従事する事業所の名称および所在地、その他派遣就業の場所および組織の単位
(3)派遣先で、派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
(4)労働者派遣の期間、派遣就業をする日
(5)派遣就業の開始時刻・終了時刻、休憩時間
(6)安全衛生に関する事項
(7)派遣労働者からの苦情の処理に関する事項
(8)労働者派遣契約の解除にあたって講ずる、派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
(9)紹介予定派遣の場合、職業紹介により従事すべき業務の内容、労働条件等
(10)個人抵触日(期間制限のない労働者派遣に該当する場合はその旨)
(11)事業所抵触日(期間制限のない労働者派遣に該当する場合はその旨)
(12)派遣元責任者および派遣先責任者に関する事項
(13)派遣先が(4)の派遣就業日以外の日に派遣就業させることができる場合、または(5)の派遣就業時間を延長できる場合は、その日数や時間数
(14)派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項
(15)派遣先が、労働者派遣終了後に派遣労働者を雇用する場合に、派遣元へ雇用意思を示すこと、紹介手数料の取扱い等、労働者派遣終了後の紛争を防止するために講ずる措置
(16)健康保険、厚生年金保険、雇用保険の被保険者資格取得届等の提出書類が提出されていない場合は、その理由

■派遣料金額の明示
以下の場合、派遣元は、派遣労働者に対して派遣料金額を明示しなければなりません(労働者派遣法第34条の2)。
・労働者を派遣労働者として雇い入れようとする場合
・労働者派遣をしようとする場合
・労働者派遣に関する料金額を変更する場合

その際は、次のいずれかを明示する必要があります。
・当該派遣労働者にかかる派遣料金額
・当該派遣労働者が所属する事業所における派遣料金額の平均額

<補足>
■労働条件の通知と就業条件の明示
労働条件の通知と就業条件の明示は、どちらも派遣労働者に必要な情報を伝えるものですが、内容が異なります。労働条件の通知は、派遣元と派遣労働者との労働契約に関する事項を示すものです。一方、就業条件の明示は、派遣開始時に、派遣先での業務内容、就業場所、就業時間、指揮命令者等を示すものです。

■登録型派遣の場合
登録型派遣等で、労働契約の締結と労働者派遣の開始が同時に行われる場合は、重複する事項について、労働条件の通知と就業条件の明示を兼ねて行うことができます。
無期雇用派遣労働者については、労働条件の通知と就業条件の明示を機械的に連動させないよう注意が必要です。労働条件は派遣元との労働契約に関する事項であり、就業条件は派遣先での具体的な就業内容に関する事項です。両者を混同すると、賃金、就業場所、派遣期間等について誤解が生じるおそれがあります。

参考文献

・「派遣元事業主の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

派遣元責任者の選任

派遣元は、派遣労働者の適切な雇用管理を行うため、事業所ごとに派遣元責任者を選任しなければなりません(労働者派遣法第36条)。
原則として、派遣労働者100人につき1人以上を選任します。

■派遣元責任者の主な業務
・派遣労働者であることの明示等
・就業条件等の明示
・派遣先への通知
・派遣元管理台帳の作成、記載および保存
・派遣労働者に対する必要な助言および指導
・派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理
・派遣先との連絡調整
・派遣労働者の個人情報の管理
・派遣労働者への教育訓練の実施および職業生活設計に関する相談機会の確保
・安全衛生に関する連絡調整

■派遣元責任者となる者の主な要件
・派遣元責任者講習を受講して3年以内であること
・未成年者ではなく、労働者派遣法で定める欠格事由に該当しないこと
・適正な雇用管理を行ううえで支障がないこと
・一定の雇用管理等の経験があること

参考文献

・「派遣元事業主の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

派遣元管理台帳の作成・保存

派遣元は、派遣就業に関する情報を管理するため、事業所ごとに派遣元管理台帳を作成し、派遣労働者ごとに必要事項を記載しなければなりません(労働者派遣法第37条)。記載事項は、労働者派遣を行う際に、内容が確定したものから順次記載します。そのため、記載する事項の内容によって、記載時期は異なります。派遣労働者の雇用管理が円滑に行われるよう、派遣元管理台帳は、有期雇用派遣労働者と無期雇用派遣労働者に分けて作成します。また、派遣元管理台帳は、労働者派遣の終了日から起算して3年間保存する必要があります。

■派遣元管理台帳に記載すべき主な事項
派遣元管理台帳には、主に以下の事項を記載します。
・派遣労働者の氏名
・協定対象派遣労働者であるか否かの別
・無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者かの別
・有期雇用派遣労働者の場合は、労働契約の期間
・派遣労働者が60歳以上であるか否かの別
・派遣先の氏名または名称
・派遣先の事業所の名称、所在地、派遣就業の場所および組織単位
・労働者派遣の期間および派遣就業をする日
・始業および終業の時刻
・従事する業務の種類
・業務に伴う責任の程度
・苦情の処理に関する事項
・紹介予定派遣に関する事項
・派遣元責任者および派遣先責任者に関する事項
・期間制限のない労働者派遣に関する事項
・社会保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無
・教育訓練を行った日時とその内容
・キャリアコンサルティングを行った日時とその内容
・雇用安定措置に関する事項

参考文献

・「派遣元事業主の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

事業所ごとの情報提供(マージン率等)

派遣元は、労働者派遣事業を行う事業所ごとに、派遣労働者数、派遣先数、派遣料金、賃金、マージン率等について、関係者に情報提供を行わなければなりません(労働者派遣法第23条第5項)。

■情報提供すべき主な事項
・派遣労働者の数
・派遣先の数
・労働者派遣に関する料金の額の平均額
・派遣労働者の賃金の額の平均額
・マージン率
・労使協定を締結しているか否かの別、労使協定の対象となる派遣労働者の範囲、労使協定の有効期間の終期
・派遣労働者のキャリア形成支援制度に関する事項
・その他、労働者派遣事業の業務に関し、参考となると認められる事項

■情報提供の方法
情報提供は、インターネットの利用その他の適切な方法により行います。関係者、特に派遣労働者が必要な情報を確認できるよう、常時インターネットで情報提供することが原則とされています。少なくとも毎事業年度終了後、可能な限り速やかに、前年度分の実績を公表することが必要です。また情報公開を積極的に進める観点から、当年度分の実績やマージン率の詳細な計算結果等を追加で公表することもできます。

参考文献

・「派遣元事業主の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

苦情処理体制の整備

苦情処理方法については、労働者派遣契約に定める必要があります(労働者派遣法第26条)。また派遣労働者に対しては、就業条件明示書で明示する必要があります(労働者派遣法第34条)。なお、派遣労働者から苦情の申し出を受けたことを理由に、不利益な取扱いをすることは禁止されています。

■苦情処理の責任者
派遣元責任者および派遣先責任者が、派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理を行います(労働者派遣法第36条、第41条)。

■管理台帳への記載
苦情の発生状況および処理の結果等は、派遣元管理台帳および派遣先管理台帳に記載する必要があります(労働者派遣法第37条、第42条)。

派遣先責任者の選任

派遣先は、派遣労働者の適正な就業を確保するため、自己の雇用する労働者の中から、事業所その他派遣就業の場所ごとに派遣先責任者を選任しなければなりません(労働者派遣法第41条)。労働関係法令の知識や人事・労務管理等についての専門的知識、相当期間の経験があリ、派遣就業に関して一定の決定・変更の権限を有する等、職務を的確に遂行できる者を選任するよう努める必要があります。
原則として、事業所ごとに、派遣労働者100人につき1人以上を選任します。
※事業所の派遣労働者と派遣先が雇用する労働者の合計が5人以下の場合は、派遣先責任者を選任する必要はありません。
※物の製造業務に50人を超える派遣労働者を従事させる事業所では、通常の派遣先責任者とは別に、製造業務に従事する派遣労働者を専門に担当する派遣先責任者を選任する必要があります。選任人数は、製造業務に従事する派遣労働者100人につき1人以上です。

■派遣先責任者の主な業務
・労働者派遣法および労働基準法等、派遣就業に関係する法令、労働者派遣契約の内容、派遣元から受けた通知内容を関係者に周知すること
・派遣受入期間の延長通知に関すること
・派遣先における均衡待遇の確保に関すること
・派遣先管理台帳の作成、記載、保存および記載事項の通知に関すること
・派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理
・安全衛生に関すること(派遣先で安全衛生を統括管理する者および派遣元との連絡調整)
・その他、派遣元との連絡調整

参考文献

・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

派遣先管理台帳の作成・保存

派遣先は、派遣就業に関する情報を管理するため、派遣先管理台帳を作成し、派遣労働者ごとに必要事項を記載しなければなりません(労働者派遣法第42条)。また、派遣先管理台帳は、派遣終了の日から起算して3年間保存しなければなりません。

■派遣先管理台帳に記載すべき主な事項
・派遣労働者の氏名
・派遣元の氏名または名称
・派遣元の事業所の名称
・派遣元の事業所の所在地
・協定対象派遣労働者であるか否かの別
・無期雇用派遣労働者か有期雇用派遣労働者かの別
・派遣就業した日
・派遣就業をした日ごとの始業・終業時刻、休憩時間
・従事した業務の種類
・派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
・派遣労働者が派遣就業した事業所の名称・所在地、その他派遣就業をした場所および組織単位
・派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
・紹介予定派遣にかかる派遣労働者については、その紹介予定派遣に関する事項
・教育訓練を行った日時および内容
・派遣先責任者および派遣元責任者に関する事項
・期間制限のない労働者派遣に関する事項
・派遣労働者にかかる社会保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無

参考文献

・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

安全配慮義務

派遣先は、派遣労働者が適正かつ円滑に就業できるよう、就業環境の維持、福利厚生施設の利用、苦情処理、ハラスメントの防止による適切な就業環境の維持等、必要な措置を講ずるよう努める必要があります(労働者派遣法第40条第1項)。
安全配慮義務とは、使用者が、労働者の生命および身体等を危険から保護するよう配慮する義務のことです。安全配慮義務の内容は、労働者の職種・業務内容・就業場所等、具体的な状況によって異なります。派遣労働者については、派遣元だけでなく派遣先も、派遣労働者の安全および健康に配慮する必要があります。

■派遣元・派遣先の責任分担
派遣労働者に関する労働安全衛生法、作業環境測定法等の責任分担は、労働者派遣法第45条および第47条に基づいて整理されています。
36協定の締結・届出、割増賃金の支払い等の一般的な労働条件の管理や、労働基準法や労働安全衛生法等については、原則として、派遣労働者と雇用関係にある派遣元が責任を負います。
ただし、派遣先は派遣労働者に対して具体的な指揮命令を行い、実際の就業場所で設備や機械等を管理しています。そのため派遣先での具体的な就業に関わる事項については、派遣先が責任を負う場合があります。派遣先が責任を負う主な事項は、以下のようなものです。
・派遣先での具体的な指揮命令に関する事項
・就業場所における設備・機械・作業環境の管理に関する事項
・労働時間・休憩・休日等、就業に伴う具体的な労働時間管理に関する事項
・危険または健康障害を防止するための措置に関する事項

また、適正な派遣就業を確保するため、派遣元は派遣元責任者を、派遣先は派遣先責任者を選任し、それぞれ必要な業務を行わせる必要があります。派遣先責任者は、主に以下の業務を行います。安全衛生に関しては、派遣先で安全衛生を統括管理する者および派遣元との連絡調整を行います(労働者派遣法第41条)。
・適用される労働関係法令や労働者派遣契約の内容等を関係者に周知すること
・派遣受入期間の延長通知に関すること
・派遣先管理台帳の作成、記載、保存および記載事項の通知に関すること
・派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理
・安全衛生に関する連絡調整
・派遣元との連絡調整

■労働者派遣契約における安全衛生関係事項
派遣労働者の安全衛生を確保するためには、責任者を定めるだけでなく、労働者派遣契約において、安全衛生を確保するために必要な事項を含む就業条件を明確にする必要があります。安全衛生の確保における重点事項は以下の通りです。
・安全衛生管理体制の確立
・危険または健康障害の防止措置の実施
・危険性または有害性等の調査
・安全衛生教育等の実施
・派遣労働者の安全な作業の確保
・特殊健康診断の実施
・ストレスチェック結果に基づく集計・分析
・健康に関する情報に基づく不利益な取扱いの禁止
・労働災害の再発防止対策

参考文献

・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

労働時間管理

労働時間とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間のことです。使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たります。労働基準関係法令等の責任は、原則として派遣労働者を雇用している派遣元が負います。ただし、労働時間・休憩・休日等、派遣先での具体的な就業に関わる事項については、派遣先が責任を負う場合があります。

■派遣先が労働時間管理で注意すべきこと
派遣先は、労働者派遣契約で定めた就業日、就業時間、時間外労働の限度を守る必要があります。そのため、派遣労働者を指揮命令する者に就業条件を周知し、契約で定めた範囲を超えて働かせないようにすることが重要です。もし時間外労働や休日労働を行う必要がある場合は、派遣元が36協定の届出を行っている必要があり、労働可能な時間外労働時間数や休日労働日数は派遣元の36協定の内容に従わなければなりません。時間管理にあたって、派遣先は以下のことに注意する必要があります。
・始業・終業時刻を確認および記録すること
・労働時間の記録に関する書類を保存すること
・労務管理を行う責任者が、労働時間管理上の問題点を把握および解消すること
・必要に応じて、労働時間等設定改善委員会等を活用すること

参考文献

・「派遣先の皆様へ」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
・「労働時間の適正な把握のために 使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

苦情処理への協力

派遣先は、派遣労働者から派遣就業に関する苦情の申出を受けた場合、その内容を派遣元に通知し連携して、適切かつ迅速に処理しなければなりません(労働者派遣法第40条第1項)。また、派遣労働者が適正かつ円滑に就業できるよう、就業環境の維持等、必要な措置を講ずるよう努める必要があります。苦情の申出を受けたことを理由に、派遣労働者に不利益な取扱いをしてはなりません。

■派遣先責任者の役割と台帳への記載
派遣先責任者は、派遣労働者から申出を受けた苦情の処理を行います(労働者派遣法第41条)。また派遣先は、苦情の申出を受けた年月日、苦情の内容および処理状況を派遣先管理台帳に記載し、その内容を派遣元に通知する必要があります。

<補足>
苦情にはハラスメントに関するものや、障害のある派遣労働者が能力を発揮するうえで支障となっている事情に関するもの等が含まれる場合があります。苦情の原因が派遣元にもある場合は、派遣先は派遣元と密接に連絡調整を行いながら、解決を図る必要があります。
また派遣先は、労働者派遣契約の中に、苦情の申出を受ける者・苦情処理の方法・派遣元と派遣先の連携体制等を定める必要があります。派遣労働者の受入れに際しては、苦情の申出先や処理方法について、派遣労働者に説明しておくことが重要です。

参考文献

・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

教育訓練機会の提供

派遣先は、派遣元が派遣労働者の待遇を適切に決定できるよう、派遣元の求めに応じて、派遣労働者と同種の業務に従事する派遣先の労働者に関する情報や、派遣労働者の業務遂行状況等の情報を提供するよう努める必要があります(労働者派遣法第40条第2項~第6項)。
また一定の場合においては、派遣労働者に対する教育訓練の実施や福利厚生施設の利用機会の付与等についても対応する必要があります。

■教育訓練に関する派遣先の対応
教育訓練とは、派遣労働者が業務を行うために必要な知識や能力を身につけるための訓練です。派遣先が派遣先の労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を行っている場合、派遣元から求めがあったときは、派遣労働者にも同様の教育訓練を実施する等、必要な措置を講じる必要があります。ただし派遣元で同様の教育訓練を実施できる場合や、派遣労働者がすでに必要な能力を持っている場合等は、派遣先が同様の教育訓練を実施する必要はありません。
また、派遣元がキャリアアップのための教育訓練として段階的・体系的な教育訓練を実施するにあたり、派遣元が派遣先に協力を求めた場合、派遣先は派遣元と協議し、派遣労働者が教育訓練を受けられるよう、可能な限り協力するよう努める必要があります。

■派遣労働者に教育訓練を行う目的
派遣労働者に教育訓練を行う主な目的は、以下の通りです。
・派遣労働者のスキル向上・キャリア形成
・派遣先の労働者との不合理な待遇差の解消につながる教育機会の確保
2020年4月の労働者派遣法改正で、派遣労働者の同一労働同一賃金への対応として、派遣労働者の不合理な待遇差の解消を図るための規定が整備されました。
派遣元には、派遣先均等・均衡方式または労使協定方式により、派遣労働者の待遇を確保することが求められています。また派遣先にも、派遣元への待遇情報の提供、業務に必要な教育訓練の実施、福利厚生施設の利用機会の付与等、一定の対応が求められます。

参考文献

・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

均等・均衡待遇への情報提供

派遣先は、派遣元が派遣労働者の待遇を適切に決定できるよう、派遣元の求めに応じて、必要な情報を提供する必要があります(労働者派遣法第40条第2項~第6項)。
※2020年4月1日施行の労働者派遣法改正により、派遣労働者の同一労働同一賃金への対応として、派遣先から派遣元への待遇情報の提供等が求められるようになりました。

■派遣先が講ずべき主な措置
(1)待遇情報の提供
派遣先が提供する情報は、待遇決定方式によって異なります。派遣先均等・均衡方式の場合は、比較対象労働者の待遇等に関する情報を提供します。労使協定方式の場合は、業務に必要な能力を付与するための教育訓練や、給食施設・休憩室・更衣室の利用に関する情報を提供します。

【派遣先均等・均衡方式の場合】
・職務の内容、職務の内容および配置の変更の範囲、雇用形態
・比較対象労働者を選定した理由
・待遇の内容
・待遇の性質および目的
・待遇を決定するにあたって考慮した事項

【労使協定方式の場合】
・業務に必要な能力を付与するための教育訓練に関する情報
・給食施設、休憩室、更衣室の利用に関する情報

(2)教育訓練の実施、福利厚生施設の利用機会の付与、必要な情報提供
派遣元が段階的・体系的な教育訓練やキャリアコンサルティング等を適切に実施できるよう、派遣労働者の業務遂行状況等の情報提供に協力するよう努める必要があります。

・教育訓練
派遣先が、派遣先の労働者に対して、業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を行っている場合、派遣元から求めがあったときは、派遣労働者にも同様の教育訓練を実施する等の措置を講じる必要があります。

・福利厚生施設
派遣先は、派遣先の労働者が通常利用している給食施設・休憩室・更衣室について、派遣労働者にも利用の機会を与える必要があります。
また、物品販売所・病院・診療所・浴場・理髪室・保育所・図書館・講堂・娯楽室・運動場・体育館・保養施設等については、利用に関する便宜を図るよう配慮する必要があります。

・情報提供
派遣先は、派遣元が教育訓練、キャリアコンサルティング、賃金等に関する措置を適切に講じられるよう、派遣先の労働者に関する情報や派遣労働者の業務遂行状況等、必要な情報提供に協力するよう努める必要があります。

参考文献

・「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

労使協定の締結・運用

労働者派遣法による同一労働同一賃金への対応として、派遣労働者の待遇を決める方法には、「労使協定方式」と「派遣先均等・均衡方式」の2種類があります。
「労使協定方式」とは、派遣元において、労働者の過半数で組織する労働組合、または労働者の過半数代表者と労使協定を結び、その協定に基づいて派遣労働者の待遇を決める方式です(労働者派遣法第30条の4)。

■協定で定める主な内容
労使協定方式を採用する場合、派遣元は協定で以下を定める必要があります。

・協定が適用される派遣労働者の範囲
・派遣労働者と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金額と同等以上となる賃金の決定方法
・派遣労働者の職務の成果や能力、意欲の向上があった場合に賃金が改善される仕組み
・派遣労働者の賃金を決定する際、職務内容や成果等を公正に評価すること
・賃金以外の待遇について、派遣元に雇用される通常の労働者との間に不合理な待遇差が生じないようにすること
・派遣労働者に対する教育訓練の実施

つまり、労使協定方式では、協定の対象となる派遣労働者について、同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金と同等以上となるように賃金を決めます。そのほかに、能力や成果等を公正に評価し、賃金改善につなげる仕組みを定める必要があります。賃金以外の待遇については、派遣元に雇用される通常の労働者との間に、不合理な待遇差が生じないようにする必要があります。

<補足>
「派遣先均等・均衡方式」は、派遣先に雇用される通常の労働者と派遣労働者との間で不合理な待遇差が生じないように待遇を決める方式で、賃金だけでなく福利厚生や教育訓練等の待遇も比較対象になります。ただし、この方式では、派遣先ごとの比較対象労働者の待遇をもとに派遣労働者の待遇を決めるため、派遣先が変わると賃金等の待遇が変わる可能性があります。一方、労使協定方式では、派遣元で締結した労使協定に基づいて待遇を決めるため、派遣先が変わった場合でも、同種の業務であれば賃金水準を安定させやすいという特徴があります。

参考文献

・「派遣労働者の待遇決定に向けた取組の全体像2020年改正労働者派遣法施行」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

3. 待遇・賃金ルール

均等・均衡方式

派遣先均等・均衡方式とは、派遣先の通常の労働者との間で、均等待遇・均衡待遇を図る方式です。基本給・賞与・手当・福利厚生・教育訓練・安全管理等、全ての待遇について、派遣先の通常の労働者との間に不合理な待遇差が生じないように待遇を決定します。そのため、派遣先は、派遣先均等・均衡方式を採用する派遣元に対して、労働者派遣契約を締結する前に、比較対象労働者の待遇情報を提供する必要があります。派遣元は、提供された情報をもとに、派遣先の通常の労働者との間に不合理な待遇差が生じないよう、派遣労働者の待遇を決定します。

<補足>
待遇を決める際は、主に「職務内容(業務内容・責任の程度)」「職務内容および配置の変更の範囲」「その他の事情」を考慮します。「職務内容」と「職務内容および配置の変更の範囲」が、派遣先の通常の労働者と同じである場合は、派遣労働者を差別的に取り扱ってはなりません。例えば、派遣先が通勤手当を通常の労働者に支給している場合、「職務内容」と「職務内容および配置の変更の範囲」が同じであれば、派遣労働者にも同様に通勤手当を支給する必要があります。
「職務内容」や「職務内容および配置の変更の範囲」が異なる場合は、その違いに応じて、不合理な待遇差が生じないように待遇を決定します。

賃金水準の決定方法

■労使協定方式
労使協定に定める協定対象派遣労働者の賃金の額については、「一般の労働者の平均的な賃金の額と同等以上」の要件があり、統計調査による一般賃金額を、厚生労働省が、毎年度、公表しています。一般賃金は、一般基本給・賞与等、一般通勤手当、一般退職金で構成されます。
(1) 一般基本給・賞与等:職種別の基準値(※1)×能力・経験調整指数(※2)×地域指数(※3)
(※1) 賃金構造基本統計調査の特別集計により算出した賃金、又は職業安定業務統計の特別集計による求人賃金(月額)の下限額の平均を基に一定の計算方法により賞与込みの時給に換算した額
(※2) 能力及び経験を反映するための指標
(※3) 地域の物価等を反映するための指標
(2) 一般通勤手当:実費支給 又は 1時間当たりの通勤手当に相当する額を支給
(3)一般退職手当:退職手当制度での比較 又は 退職金前払い方式 又は 中小企業退職金共済制度等への加入

■派遣先均等・均衡方式
派遣先均等・均衡方式では、派遣先の通常の労働者との均等・均衡を踏まえて、派遣労働者の待遇を決定します。
※賃金水準は企業によって異なるため、派遣先均等・均衡方式では、同じような業務であっても、派遣先が変わることで賃金水準が変わる場合があります。
※労使協定を結んでいても、協定に定めた賃金水準を満たしていない場合や、公正な評価に基づく待遇改善の仕組みが適切に運用されていない場合等は、労使協定方式として扱われず、派遣先均等・均衡方式による対応が必要になります。

参考文献

福利厚生の適用

前提として、派遣労働者も一定の要件を満たす場合には、社会保険や休暇制度等の福利厚生・待遇の対象となります。なお、福利厚生制度は、一般的に法律で定められている「法定福利厚生」と、企業が独自に提供する「法定外福利厚生」の2種類に分けられます。
2020年4月の改正労働者派遣法の施行により、派遣労働者についても、派遣先均等・均衡方式または労使協定方式に基づき、基本給・賞与・手当・福利厚生・教育訓練・安全管理等の待遇について、不合理な待遇差が生じないようにすることが求められるようになりました。そのため、法定外福利厚生についても、制度の内容や比較対象となる労働者との関係に応じて、均等・均衡を踏まえた対応が必要になります。
なお、派遣労働者の福利厚生・待遇は、内容によって、派遣元が対応するものと、派遣先が利用機会を与えるものがあります。例えば、食堂・休憩室・更衣室等の福利厚生施設や、業務に必要な教育訓練については、派遣先にも利用機会の付与や実施が求められます。

説明義務

派遣先均等・均衡方式を採用している場合、派遣元は、派遣先から比較対象労働者の待遇等に関する情報提供を受けて、派遣労働者の待遇を決定します。そのため、派遣先は派遣元に対して、労働者派遣契約の締結前に、比較対象労働者の待遇等に関する情報を提供する必要があります。つまり、派遣先均等・均衡方式か労使協定方式かによって、派遣先から派遣元へ提供する情報の内容は異なります。

■待遇等に関する情報提供
(1)派遣先均等・均衡方式の場合
比較対象労働者の待遇等に関する次の事項
・職務の内容、職務の内容および配置の変更の範囲ならびに雇用形態
・比較対象労働者を選定した理由
・待遇の内容(昇給、賞与等の主な待遇がない場合には、その旨を含む)
・待遇の性質および目的
・待遇決定にあたって考慮した事項

(2)労使協定方式の場合
・業務に必要な能力を付与するための教育訓練
・食堂・休憩室・更衣室の利用機会

<補足>
同一労働同一賃金の実現を目的に、パートタイム・有期雇用労働法と労働者派遣法が改正されました。労働者派遣法では、2020年4月1日から、派遣労働者の待遇について次の3点が整備されました。
(1)不合理な待遇差をなくすための規定の整備
(2)派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化
(3)裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備
このうち、「(2)派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化」により、派遣元には、雇入れ時・派遣時・派遣労働者から説明を求められたときに、一定の事項を明示・説明することが義務付けられました。

また、派遣労働者の同一労働同一賃金については、令和8年10月1日から改正が施行・適用されます。雇入れ時・派遣時の明示事項に、「待遇の相違の内容および理由等について説明を求めることができる旨」が追加されます。

(1)-1 雇入れ時の明示
・昇給の有無
・退職手当の有無
・賞与の有無
・労使協定の対象となる派遣労働者であるか否か
・派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理に関する事項
・待遇の相違の内容および理由等について説明を求めることができる旨(令和8年10月1日に追加)

(1)-2 雇入れ時の説明
・派遣先の通常の労働者との間で不合理な待遇差を設けない・差別的取り扱いをしない旨
・一定の要件を満たす労使協定に基づき待遇が決定される旨
・賃金の決定にあたって勘案した事項

(2)-1 派遣時の明示
・賃金の決定等に関する事項
・休暇に関する事項
・待遇の相違の内容および理由等について説明を求めることができる旨(令和8年10月1日に追加)

(2)-2 派遣時の説明
・派遣先の通常の労働者との間で不合理な待遇差を設けない・差別的取り扱いをしない旨
・賃金の決定にあたって勘案した事項

(3)派遣労働者の求めに応じた説明
派遣労働者から求めがあった場合、派遣元は、待遇の相違の内容や理由等について説明する必要があります。令和8年10月1日からは、雇入れ時・派遣時に、説明を求めることができる旨を明示する必要があります。

【派遣先均等・均衡方式の場合】
・派遣労働者と比較対象労働者の待遇の相違の内容
・待遇の相違の理由

【労使協定方式の場合】
・賃金が、労使協定で定めた内容に基づき決定されていること
・待遇が、派遣元に雇用される通常の労働者との間で不合理な相違がなく決定されていること

参考文献

・「2020年改正労働者派遣法施行」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

4. 事業者規制

許可制

2015年の労働者派遣法改正により、それまで存在していた「特定労働者派遣事業(届出制)」は廃止され、原則として全ての労働者派遣事業が許可制へと一本化されました。労働者派遣法第5条に基づき、派遣元となる事業主は厚生労働大臣に所定の申請書を提出し、労働者派遣事業の許可を受ける必要があります。また申請にあたっては、事業計画書のほか、財産的基礎や組織体制等が許可基準を満たしていることを証明するための書類等、法令で定められた書類を添付する必要があります。

参考文献

・「労働者派遣事業の許可制について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

許可要件(資産・体制)

労働者派遣法第6条に基づき、以下の欠格事由に該当する者は、厚生労働大臣の許可を受けることができません。
(1)禁錮以上の刑(※法改正により拘禁刑を含む)に処せられ、その執行を終え、または執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(2)精神の機能の障害により、労働者派遣事業を適正に行うにあたって必要な認知、判断および意思疎通を適切に行うことができない者
(3)破産手続開始の決定を受けて復権を得ていない者
(4)労働関係法令その他一定の法令に違反し、罰金刑に処せられ、その執行を終えた日から5年を経過しない者
(5)暴力団員等または暴力団員等と密接な関係を有する者
※例えば、暴力団が実質的に経営を支配している事業者等が該当します。

また、労働者派遣法第7条に基づき、労働者派遣事業の許可を受けるためには、以下の許可基準に適合している必要があります。
(1)専ら特定の者に対して労働者派遣の役務を提供することを目的とするものでないこと
(2)派遣労働者にかかる雇用管理を適正に行う能力を有すること(教育訓練体制、苦情処理体制等)
(3)個人情報の適正管理および秘密保持のための措置が講じられていること
(4)事業を的確に遂行するに足りる能力を有すること

(基準の具体例)
・基準資産額(総資産-負債)が「2,000万円 × 事業所数」以上であること
・基準資産額が負債総額の7分の1以上であること
・現金預金額が「1,500万円 × 事業所数」以上であること
・事業に使用する事務所面積がおおむね20㎡以上であること等

参考文献

・「労働者派遣事業の許可制について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

更新手続き

労働者派遣法に基づき、労働者派遣事業の許可の有効期間は、新規許可の場合は許可日から3年間です。その後は、5年ごとに許可の更新を受ける必要があります。許可の有効期間の更新を受けようとする場合は、有効期間満了日の3カ月前までに、主たる事務所の所在地を管轄する都道府県労働局長に対して申請を行う必要があります。

■主な必要書類
以下は代表的な提出書類です。
※実際には状況に応じて追加書類が必要になる場合があります。
(1)労働者派遣事業許可有効期間更新申請書(様式第1号)
(2)労働者派遣事業計画書(様式第3号)
(3)キャリア形成支援制度に関する計画書(様式第3号-2)
(4)雇用保険等の被保険者資格取得の状況報告書(様式第3号-3)
(5)定款または寄附行為
(6)履歴事項全部証明書

(事業所ごとに必要な書類)
(7)個人情報適正管理規程
(8)派遣元責任者講習受講証明書の写し
(9)労働者派遣事業に関する自己チェック結果(様式第15号)

(財務関係書類)
(10)貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書
(11)法人税の納税申告書の写し
(12)法人税の納税証明書(その2:所得金額用)

(体制・制度関係)
(13)就業規則または労働契約(雇用安定措置に関する記載部分)
(14)キャリア形成支援に関する規程
(15)教育訓練の詳細内容
(16)会社概要・事業内容が確認できる資料(会社案内等)

■手数料
更新申請にあたっては、1事業所あたり55,000円の収入印紙を申請書に貼付し、手数料を納付する必要があります。

参考文献

・「労働者派遣事業(法人) <許可有効期間の更新>」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
・「労働者派遣事業を適正に実施するために」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

事業報告義務

労働者派遣法に基づき、派遣元は毎事業年度、労働者派遣事業の運営状況について厚生労働大臣(実務上は管轄の都道府県労働局)へ報告する義務があります。報告には、(1)労働者派遣事業報告書、(2)労働者派遣事業収支決算書、(3)関係派遣先派遣割合報告書の3種類の書類の提出が必要です。なお、当該年度に派遣実績がない場合であっても全ての書類の提出義務があります。

5. 禁止事項・規制

派遣禁止業務

労働者派遣事業では、業務の性質や他の制度との関係から、派遣労働者に従事させることが適当でないとされる業務があります。例えば、港湾運送業務や建設業務には、労働者派遣事業とは別の制度が設けられています。そのため、労働者派遣事業の対象外とされています。

■派遣が禁止されている主な業務
(1)港湾運送業務
港湾における船内荷役、はしけ運送、沿岸荷役、いかだ運送等の業務が該当します。
(2)建設業務
土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊または解体の作業、またはこれらの準備の作業にかかる業務が該当します。
(3)警備業務
事務所、住宅、興行場、駐車場、遊園地等における盗難等の事故を警戒・防止する業務、雑踏での負傷等を警戒・防止する業務、運搬中の現金等にかかる盗難を警戒・防止する業務等が該当します。
(4)病院等における医療関係業務
医師、歯科医師、薬剤師、保健師、助産師、看護師・准看護師、栄養士等が、病院・診療所等で行う一定の医療関係業務が該当します。

<補足>
■(4)の例外
障害者支援施設、生活保護法に基づく救護施設・更生施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム等に設置された診療所は、ここでいう病院・診療所には含まれません。訪問入浴介護・介護予防訪問入浴介護にかかるものについては、労働者派遣事業は禁止されていません。
また、次のいずれかに該当する場合は、医療関係業務についても労働者派遣事業が認められる場合があります。
(1)紹介予定派遣をする場合
(2)当該業務が、産前産後休業、育児休業、介護休業を取得した労働者の業務である場合
(3)医師の業務であって、派遣労働者の就業場所が、次のいずれかに該当する場合
・へき地にある場合
・地域における医療の確保のため、医業に派遣労働者を従事させる必要があるとして厚生労働省令で定める場所である場合

※各法令の趣旨から、労働者派遣事業を行うことができない業務
弁護士、司法書士、公認会計士(一部の業務を除く)等

参考文献

・「労働者派遣適用除外業務」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

日雇い派遣の禁止

2007~8年(平成19年~20年)頃、不適正な日雇派遣(いわゆる「データ装備費」問題等)が社会問題化しました。その後、平成24年の労働者派遣法改正により、日雇派遣は原則禁止となりました。これは、日々または30日以内の期間を定めて雇用される労働者について、必要な雇用管理がなされず、派遣労働者の保護に欠けるおそれがあるためです。31日以上の雇用契約であれば、日雇派遣の原則禁止の対象にはなりません。

■日雇い派遣の例外
日雇派遣は原則禁止ですが、次のいずれかに該当する場合は例外として認められます。
(1)例外となる業務
日雇派遣が常態として行われており、かつ、日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務について、日雇派遣が可能です。
・ソフトウェア開発
・機械設計
・事務用機器操作 
・通訳、翻訳、速記
・秘書 
・ファイリング 
・調査 
・財務処理
・取引文書作成 
・デモンストレーション 
・添乗 
・受付・案内
・研究開発 
・事業の実施体制の企画・立案 
・書籍等の制作・編集 
・広告デザイン
・OAインストラクション 
・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業

(2)例外となる労働者
以下の労働者については、雇用機会の確保が特に困難な労働者等として、例外的に日雇派遣が認められています。
・60歳以上の者
・雇用保険の適用を受けない学生
・副業として従事する者で、生業収入が500万円以上の者
・主たる生計者以外の者で、世帯収入が500万円以上の者

参考文献

・「日雇派遣の原則禁止について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
・「労働者派遣を行う際のポイント」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

専ら派遣の禁止

労働力需給の適正な調整を図るため、労働者派遣事業の許可申請については、当該事業が「専ら労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的として行われるもの(専ら派遣)ではない」と認めるときでなければ、許可してはならないとされています。
この条件に反して専ら派遣が行われている場合、厚生労働大臣は派遣元に対して、事業の目的および内容の変更を勧告することができます。また該当の派遣元は、許可の取消しや事業停止命令の対象となる場合があります。

■専ら派遣の主な判断基準
(1)定款等に、労働者派遣の役務を特定の者に提供することを目的とする旨が記載されている。
(2)派遣先の確保のための努力が客観的に認められない。
(3)特定の者以外からの労働者派遣の依頼を、正当な理由なく全て拒否している。

■専ら派遣が禁止されている理由
専ら派遣が認められると、労働者派遣事業が特定の者の労働力供給源となり、直接雇用の機会を阻害するおそれがあります。そのため、労働力需給調整システムとして位置付けられている労働者派遣事業制度の趣旨に反するとされています。

■例外
ただし、雇用の機会の確保が特に困難であり、労働者の雇用の継続等を図るために必要であると厚生労働省令で定める場合は、専ら派遣に関する勧告の対象外とされています。「厚生労働省令で定める場合」とは、当該労働者派遣事業を行う派遣元が雇用する派遣労働者のうち、10分の3以上が60歳以上の者である場合をいいます。ただし、対象となる60歳以上の者は、他の事業主の事業所を60歳以上の定年により退職した後に雇い入れられた者に限られます。

参考文献

・「専ら派遣」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)
・「専ら派遣(もっぱらはけん)の禁止」(東京都労働相談情報センター)(2026年6月18日に利用)

離職1年以内の労働者の派遣禁止

派遣先は当該派遣先を離職してから1年以内の者を、派遣労働者として受け入れてはなりません(労働者派遣法第40条の9第1項)。
派遣元から派遣労働者の氏名等の通知を受けた際に、この禁止規定に抵触することが分かった場合は、その旨を速やかに派遣元へ通知しなければなりません(労働者派遣法第40条の9第2項)。また、派遣元は、派遣先を離職してから1年を経過していない労働者を、派遣労働者として当該派遣先へ派遣してはなりません(労働者派遣法第35条の5)。ただし、雇用機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者、具体的には60歳以上の定年退職者は、禁止対象から除外されます。
※ この場合の派遣先は、事業所単位ではなく事業主単位で捉えます。

■禁止されている理由
直接雇用されていた労働者を、離職後すぐに派遣労働者として受け入れることで、労働条件を切り下げようとするケースがあります。これを防ぐため、派遣元が離職後1年以内の労働者を元の派遣先に派遣すること、また、元の派遣先がその労働者を派遣労働者として受け入れることは禁止されています。

参考文献

・「離職後1年以内の労働者派遣の禁止について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

グループ内派遣の規制

派遣元と同一グループ内の事業主が派遣先の大半を占めるような場合、派遣元が本来果たすべき労働力需給調整機能が十分に働かないおそれがあります。そのため、派遣元が関係派遣先へ派遣する割合は、全体の8割以下に制限されています(労働者派遣法第23条の2)。
派遣元は、毎年度、関係派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければなりません(労働者派遣法第23条第3項)。この報告を行わず、また厚生労働大臣の指導・助言および指示に従わず、違反している場合は、許可取消しの対象となる場合があります(労働者派遣法第14条)。なお、60歳以上の定年退職者は、派遣割合の算定対象から除外されます。

■派遣割合の算出方法
以下の割合が8割以下になる必要があります。
関係派遣先への派遣割合=(関係派遣先での派遣労働者の総労働時間 − 60歳以上の定年退職者の関係派遣先での総労働時間)÷ 全派遣労働者の総労働時間

■「関係派遣先」の範囲
(1)派遣元が連結子会社の場合
・派遣元の親会社
・派遣元の親会社の子会社
※親子関係は連結決算の範囲で判断

(2)派遣元が連結子会社でない場合
・派遣元の親会社等
・派遣元の親会社等の子会社等
※親子関係は外形基準で判断(議決権の過半数を所有、資本金の過半を出資している等)

参考文献

・「 労働者派遣法が改正されました」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)
・「グループ企業内派遣の8割規制について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

受入れ期間の規制

派遣の受入れ期間には、主に次の2種類の期間制限が設けられています。

(1)事業所単位の期間制限
派遣先の同一の事業所における派遣労働者の継続的な受入れは、原則として3年が上限です。3年を超えて受け入れようとする場合は、派遣先の過半数労働組合等から意見聴取を行う必要があります。
(2)組織単位の期間制限
派遣先の同一の組織単位における同一の派遣労働者の継続的な受入れは、原則として3年が上限です。

ただし、次の場合は、派遣可能期間の制限がかかりません。
・派遣元で無期雇用されている派遣労働者
・60歳以上の派遣労働者
・有期プロジェクト業務(事業の開始、転換、拡大、縮小または廃止のための業務であって、一定期間内に完了するもの)
・日数限定業務(1カ月間に行われる日数が通常の労働者に比べ相当程度少なく、かつ、月10日以下であるもの)
・産前産後休業、育児休業、介護休業等を取得する労働者の代替として行う業務

■派遣可能期間の制限を設ける理由
労働者派遣事業は、臨時的・一時的な労働力の需給調整のための仕組みとして位置付けられています。そのため、派遣先が長期間にわたって派遣労働者を受け入れ続けることで、直接雇用の機会が失われることを防ぐ必要があります。派遣可能期間の制限は、派遣先の常用雇用の代替を防止するために設けられています。また、派遣労働者が同じ業務に長期間固定されることで、雇用の安定やキャリア形成の機会が損なわれるおそれがあるため、期間制限によって一定の区切りを設けています。

※事業所単位と組織単位の期間制限の両方に、「クーリング期間」の考え方があります。派遣契約終了後、継続して3カ月を超えて労働者派遣が行われない場合、期間制限の通算はリセットされます。労働者派遣が行われない期間が3カ月を超えない場合は、継続して労働者派遣を受け入れているものとみなされます。
ただし、派遣先が、事業所単位の派遣可能期間の延長手続き、つまり過半数労働組合等への意見聴取を回避する目的でクーリング期間を利用することは、法の趣旨に反するものとして指導の対象となる可能性があります。また、派遣先が、同一の有期雇用派遣労働者を同一の組織単位で3年間受け入れた後、クーリング期間を空けて、再び同一の組織単位で受け入れるよう派遣元に促すことも、法の趣旨に反する可能性があります。

参考文献

・「平成27年労働者派遣法改正法成立」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
・「派遣受入期間の制限について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

派遣労働者を特定することを目的とする行為の禁止

労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為(特定目的行為)をしないように努めなければなりません。派遣元も、紹介予定派遣の場合を除き、派遣先による特定目的行為に協力してはなりません(派遣元指針第2の13)。ただし紹介予定派遣の場合は、派遣終了後の直接雇用を予定して行うもののため、面接・履歴書の送付・適性検査等が認められています(労働者派遣法第26条第6項)。

■派遣労働者を特定することを目的とする行為の具体例(派遣先指針第2の3)
・労働者派遣に先立って面接をすること
・派遣労働者の履歴書を送付させること
・発注にあたって若年者に限る等の指示をすること

■特定目的行為が禁止されている理由
労働者派遣制度では、派遣元が派遣労働者を雇用し、派遣先が業務上の指揮命令を行います。派遣労働者を誰にするかは派遣元が決定する仕組みであるため、派遣先が求める業務内容に対応できるかどうかは派遣元が判断します。

参考文献

・「特定目的行為の禁止について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

二重派遣の禁止

二重派遣とは、派遣元から派遣された派遣労働者を、派遣先がさらに別の会社へ派遣するような状態をいいます。
労働者派遣では、派遣元と派遣労働者の間に雇用関係があり、派遣先は派遣労働者に指揮命令を行います。派遣先と派遣労働者の間には雇用関係がありません。そのため、派遣先がさらに別の会社へ派遣労働者を派遣した場合、雇用関係のない労働者を他社の指揮命令下で働かせることになり、職業安定法で禁止されている労働者供給事業に該当します。また、雇用関係や指揮命令関係が複雑になることで、労働条件の管理、安全衛生管理、労災発生時の対応等の責任関係が不明確になりやすくなります。
二重派遣では、労働者をさらに別の会社へ供給した派遣先や、その供給を受けた会社が、職業安定法違反として罰則の対象となる可能性があります。また、派遣先が就業に介入して利益を得た場合、労働基準法で禁止されている中間搾取として、罰則の対象になるケースもあります。
ただし、二重派遣であることを知らずに受け入れていた場合、受入側がただちに罰則の対象になるとは限りません。契約内容や就業実態を確認し、派遣労働者が別会社の指揮命令下で働く状態になっていないか確認することが重要です。

参考文献

・「派遣相談(二重派遣)」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

偽装請負の禁止

請負とは、「労働の結果としての仕事の完成」を目的とする契約です。民法第632条では、請負人がある仕事を完成することを約し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約する契約とされています。労働者派遣との大きな違いは、発注者と請負事業主の労働者との間に、指揮命令関係が生じないことです。契約上は請負であっても、請負事業主の労働者が、請負事業主ではなく発注者から直接指揮命令を受けて業務を行っている場合は、実態として労働者派遣に該当することがあります。このように、請負の形式をとりながら、実態として労働者派遣を行っている状態を「偽装請負」といいます。

■偽装請負が違法である理由
偽装請負では、契約上は請負でありながら、実態としては発注者が労働者に指揮命令を行います。そのため、労働者派遣法等で定められた派遣元・派遣先の責任が不明確になり、労働者の雇用や安全衛生等の基本的な労働条件が十分に確保されないおそれがあります。

■偽装請負の例
(1)代表型
請負契約であるにもかかわらず、発注者が請負事業主の労働者に対して、業務の細かい指示を出したり、出退勤・勤務時間を管理したりしているケースです。偽装請負によくみられるパターンです。

(2)形式だけ責任者型
現場には形式的に責任者を置いているものの、その責任者が発注者の指示を個々の労働者に伝えるだけになっているケースです。実態としては、発注者が労働者に直接指揮命令しているのと同じ状態です。

(3)使用者不明型
業者Aが業者Bに仕事を発注し、Bがその仕事をさらに業者Cへ依頼するといったケースです。Cに雇用されている労働者がAの現場でAやBの指示を受けて働く等、雇用関係や指揮命令関係が不明確になります。

(4)一人請負型
発注者と請負事業主の関係を請負契約とし、さらに請負事業主と労働者の関係も、雇用契約ではなく個人事業主との請負契約のように見せているケースです。実態として労働者が発注者の指示を受けて働いている場合は、偽装請負に該当する可能性があります。

参考文献

・「偽装請負について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)
・「労働者派遣制度について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

6. 違反・罰則

刑事罰

労働者派遣法第6章では、労働者派遣事業における違反行為とその罰則が定められています。主な違反行為と罰則の内訳は以下の通りです。
(1)適用除外業務等、労働者派遣が禁止されている業務に従事させた場合
(2)自己の名義をもって、他人に労働者派遣事業を行わせた場合(名義貸し)
(3)厚生労働大臣の許可を受けずに労働者派遣事業を行った場合
(4)偽りその他不正の行為により、労働者派遣事業の許可または許可の更新を受けた場合
罰則:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
(5)事業所抵触日または個人抵触日を超えて労働者派遣を行った場合
(6)派遣労働者に対し、就業条件等の明示を行わなかった場合
罰則:30万円以下の罰金
(7)厚生労働大臣の改善命令に違反した場合
(8)法令違反に関して通報した派遣労働者に対し、不利益な取扱いをした場合
罰則:6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金

参考文献

・「違法行為による罰則、行政処分及び勧告・公表」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

労働契約申込みみなし制度

労働契約申込みみなし制度とは、派遣先等により違法派遣が行われた時点で、派遣先等が派遣労働者に対して、派遣元との労働条件と同じ内容の労働契約を申し込んだとみなす制度です。なお、派遣先が違法派遣に該当することを知らず、かつ、知らなかったことに過失がなかったときは、適用されません。

■労働契約申込みみなし制度の対象となる派遣先等の違法派遣の5つの類型
(1)派遣労働者を禁止業務に従事させること
(2)無許可事業主から労働者派遣の役務の提供を受けること
(3)事業所単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
(4)個人単位の期間制限に違反して労働者派遣を受けること
(5)いわゆる偽装請負等

労働契約の内容は、違法派遣が行われた時点における派遣元と派遣労働者との間の労働契約と同一の条件とされます。この申込みに対し、派遣労働者が承諾(受諾)した時点で直接雇用が成立します。なお、派遣労働者が承諾しない場合は労働契約は成立しません(承諾の有効期限は、違法派遣が終了した日から1年間です)。

参考文献

・「労働契約申込みみなし制度の概要」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)