関連用語

派遣に関する専門用語を初心者にもわかりやすく解説します。

更新日:2026.07.01

1. 派遣の基本用語

労働者派遣

労働者派遣事業とは、派遣元が雇用している労働者を、その雇用関係を維持したまま派遣先の指揮命令を受けて、その派遣先のために労働させることをいいます。この定義に当てはまるものは、全て労働者派遣法の適用を受けます。労働者派遣事業を行おうとする場合、厚生労働大臣の許可を得る必要があります。

参考文献

・「労働者派遣事業について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

派遣労働者

派遣元に雇用されており、その雇用関係を維持したまま派遣先へ派遣されて働く労働者のことです。一般的には「派遣社員」と呼ばれています。

派遣元(派遣会社)

派遣元とは、労働者派遣事業の許可を有する法人または個人であり、労働者派遣が行われているときの派遣労働者の雇用元を指します。

派遣先

派遣先とは、派遣労働者が実際に就業する場所である法人または個人をいいます。仕事の指揮命令は派遣先から受けます。
派遣先は、派遣元から紹介された派遣労働者を受け入れ、スムーズに業務を遂行できるようサポートする役割を担います。

有効求人倍率

「有効求人倍率」とは、ハローワークにおける有効求人数を有効求職者数で割った割合のことで、1人の求職者に対してどれだけの求人があるのかを表しています。求人や求職(仕事探し)の申込みは、申し込んだ月を含めて3カ月目の月末までが「有効期間」となります。
1952年に統計調査が開始されてから、企業には採用の難易度、求職者には就職のしやすさを判断する目的で利用されています。有効求人倍率は、景気の動向とほぼ同時に連動して動くため、景気の改善・悪化を見る判断材料としても活用されています。他にも、雇用情勢を図る指標としては、景気の動きを先取りする「新規求人倍率」や景気から遅れて動く「完全失業率」等があります。(※1)

<補足>(※2)
有効求人倍率の計算式
月間有効求人倍率 =「月間有効求人数」÷「月間有効求職者数」
※月間有効求人数:前月から繰り越された求人(未充足分)+当月の新規求人数
※月間有効求職者数:前月から引き継がれた求職者+当月の新規求職申込件数

参考文献

(※1)「有効求人倍率の受理地別値(公表値)と就業地別値(試算値)」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
(※2)「用語の定義」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

2. 派遣の働き方・契約形態

登録型派遣

一般に、派遣元が派遣労働を希望する人をあらかじめ登録(氏名・希望業務・スキル等)しておき、実際の派遣先(働く企業)が決まったタイミングでその人と「有期雇用契約(期限の定めのある契約)」を結ぶ働き方のことです。契約期間が終われば派遣元と派遣労働者の雇用関係は一度終了し、次に別の派遣先(または同じ派遣先の更新)で働くことになったときにあらためて雇用契約を結び直します。

常用型派遣(無期雇用派遣)

常用型派遣とは、派遣元が常時雇用している労働者を派遣先に派遣する働き方のことです。派遣労働者は派遣元と期限の定めのない「無期雇用契約」を結び、派遣元の社員(無期雇用派遣労働者)として各派遣先で勤務します。派遣先の仕事が終了しても派遣元と派遣労働者との雇用契約が継続するため、次の派遣先が決まるまでの待機期間であっても、派遣元には給与の支払いや会社の都合で休ませる場合の「休業手当」の支給義務があります。

紹介予定派遣

紹介予定派遣とは、将来的に派遣先で正社員や契約社員等として直接雇用されることを前提に、一定期間(最長6カ月)だけ派遣労働者として働く仕組みのことです。(※1)派遣期間の終了後、派遣先と派遣労働者の双方の合意があれば、派遣先で直接雇用になります。ただし、派遣先には直接雇用する義務はなく、不採用となることもあります。

<補足>(※1)
・紹介予定派遣のルールと進め方
紹介予定派遣を行うためには、派遣元が「労働者派遣事業」と「有料(または無料)職業紹介事業」の両方の許可を得ている必要があります。また、労働者派遣を開始する時点で「将来直接雇用を目指す」という内容に派遣労働者と派遣先の双方が同意している必要があります。加えて、派遣契約に当該職業紹介により従事すべき業務内容と労働条件、その他の当該紹介予定派遣に関する事項を定めるとともに、労働者に対しても明示しなければなりません(派遣法第26条第1項第9号、第34条第1項第2号)。

派遣先が直接雇用を見送る(採用しない)場合、派遣元からの求めに応じて、派遣先はその理由を明示しなければなりません。また派遣労働者が希望すれば、派遣元からその不採用理由を聞く(書面等での明示を受ける)ことができます。(派遣元指針第2の15(2)、派遣先指針第2の18(2))。

・事前の面接や履歴書提出が認められる理由
通常の派遣では派遣先による事前面接や履歴書の確認(特定目的行為)は禁止されていますが、紹介予定派遣では「採用を前提とした職業紹介」を兼ねているため、特別に認められています。(労働者派遣法第26条第6項)。そのため、以下の行為が可能です。

(1)働く前の面接や企業への履歴書提出
(2)働く前や就業中に直接雇用時の条件(給与等)を確認すること
(3)派遣期間中に企業から採用内定を出すこと

<注意点>
派遣労働者の特定にあたっては、労働施策総合推進法・男女雇用機会均等法・障害者雇用促進法等の趣旨に照らし、年齢、性別、障害の有無等で不合理な選別(お断り)をすることは法律で固く禁じられています。(※1)また労働者の見極めのため等と称し、6カ月を超えて紹介予定派遣を継続することはできません。さらに、紹介予定派遣での直接雇用後に派遣先で試用期間を設けることは、紹介予定派遣の趣旨に反する行為となり、指導の対象となります。

参考文献

(※1)「労働者派遣と労働者派遣法」(東京都産業労働局)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

日雇派遣

日雇派遣とは、派遣元が「日々または30日以内の期間を定めて雇用する派遣労働者を派遣すること」を指します。必要な雇用管理がなされず、派遣労働者の保護に欠けることから労働者派遣法で「原則禁止」とされています。
ただし、以下の「例外業務(仕事内容)」または「例外労働者(働く人の条件)」のどちらかを満たす場合は、特例として日雇派遣が認められています。

■ 例外として認められる「18業務」
・ソフトウェア開発
・機械設計
・事務用機器操作
・通訳、翻訳、速記
・秘書
・ファイリング
・調査
・財務処理
・取引文書作成
・デモンストレーション
・添乗
・受付・案内
・研究開発
・事業の実施体制の企画、立案
・書籍等の制作・編集
・広告デザイン
・OAインストラクション
・セールスエンジニアの営業、金融商品の営業

■ 例外として認められる「働く人の条件」
・60歳以上の場合
・雇用保険の対象外となる学生の場合(いわゆる「昼間学生」)
・本業の収入が500万円以上あり、副業として働く場合
・世帯全体の年収が500万円以上あり、自分が主たる生計維持者ではない場合(例:配偶者の収入が500万円以上ある主婦・主夫等)

参考文献

・「日雇派遣の原則禁止について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

請負

請負とは、「仕事の完成」に対して報酬を支払う契約のことです(民法第632条)。請負の最大の特徴は、「期日までに指定された成果物を完成させること」にあります。仕事が完成するのであれば他の会社に外注(下請け)しても問題ありません。ただし、仕事を完成させられなかった場合は、契約違反(債務不履行責任)に問われることになります。

<補足>(※1)
・労働者派遣との違い
請負では、発注元(注文主)と実際に作業する労働者との間に「指揮命令関係(業務の指示)」が一切発生しません。
発注元の社員が請負労働者に直接業務の指示を出した場合、契約書が「請負契約」になっていても、法律上は「労働者派遣事業」とみなされ、労働者派遣法が適用されます。

※労働者派遣事業と請負の区分の必要性(※2)
派遣と請負では、労働者の安全を守る責任(安全衛生)や労働時間の管理をどちらの会社が担当するかのルール(責任区分)が異なります。このため、業務遂行方法について労働者派遣か請負かを明確にし、それに応じた安全衛生対策・労働時間管理の適正化を図ることが必要です。なお、注文主と労働者との間に指揮命令関係がある場合には、請負形式の契約が行われていたとしても「労働者派遣事業」に該当し、労働者派遣法の適用を受けます。この区分の実際の判断は必ずしも容易ではないことから、厚生労働省によって明確な「判断基準(区分基準)」が定められています。

参考文献

(※1)「労働者派遣と請負の区分の必要性」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)
(※2)「労働者派遣事業とは」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

職業紹介

「職業紹介(人材紹介)」とは、求人の申込み(企業側)と求職の申込み(働く側)を受け、双方の間に雇用関係が成立するよう仲介(あっせん)することをいいます(職業安定法第4条第1項)。職業紹介事業は、国が運営するハローワーク(公共職業安定所)や民間の転職エージェント(人材紹介会社)等が該当します。

<補足>
・職業紹介事業の種類
(1)有料職業紹介事業:「港湾運送業務」と「建設業務」につく職業以外であれば、原則として全ての職業を扱うことができます。(※1)
※ただし、取り扱う職業については、「届出」が必要で、届出を行っていない職業の求人受付や職業紹介はできません。
(2)無料職業紹介事業:扱える仕事に法律上の制限はありません。

・許可・届出制
(1)有料職業紹介事業:厚生労働大臣の「許可」が必要です(有効期間は新規3年、更新後は5年)。
(2)一般の無料職業紹介事業:「許可」が必要です(有効期間は5年)。
※これらは会社(事業主)単位での許可となり、新しく支店・営業所を増やす場合は「届出」で可能です。
(3)以下、一部の無料職業紹介事業:「届出」のみで可能です。
・学校(大学・高校等)が自校の学生や生徒を対象に行うもの
・農協(JA)・商工会議所・商工会等の特別な法律で作られた法人が会員等を対象に行うもの
・地方公共団体(都道府県や市区町村)が自らの行政施策に関連して行うもの(※1)

参考文献

(※1)「職業紹介事業制度の概要」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

業務委託

「委託契約(業務委託契約)」とは、外部の会社や個人(受託者)に業務を依頼し、相手がそれを引き受ける契約のことです。実務では全て「業務委託」と呼ばれますが、法律上は成果物の納品(仕事の完成)を目的とする「請負契約」と、特定の業務を行うこと(行為そのもの)を目的とする「委任・準委任契約」の大きく2つに分かれます。

請負:建設工事やシステム開発等、完成した成果物に対して報酬が支払われます。
委任・準委任契約:コンサルティングや受付業務、法律行為等、契約に定められた業務を適切に行うことに対して報酬が支払われます(仕事の完成義務はありません)。

請負については民法で定められていますが、業務委託という類型の契約については法で規定されていません。「業務委託契約」は、請負契約・委任契約・準委任契約の総称です。請負契約とは業務委託契約の一部といえます。業務委託を含め、個人として継続的に事業収入を得る場合は、個人事業主に該当します。

3. 契約・法制度に関する用語

労働者派遣契約

「労働者派遣契約(派遣契約)」とは、派遣元と派遣先の間で結ばれる契約です。
企業間の派遣契約に関する大枠を定める「基本契約」と、個々の就業期間に応じた契約を定める「個別契約」に大別されます。
派遣契約では、業務内容・就業場所・期間等、派遣就業に必要な事項を定めます。また派遣労働者の雇用の安定を図るため、派遣先の都合による派遣契約の中途解除の際に必要な措置や、派遣労働者を直接雇用する際の紛争防止措置についても定めることが必要です。

■派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
・次の新しい派遣先(就業機会)を確保すること
・次の仕事が見つかるまでの休業手当等に必要な費用を派遣先が負担すること(※1)

<補足>
派遣先は、派遣労働者に対する業務上の指揮命令権をもち、勤怠管理や就業環境を管理する責任を負います。その一方で、派遣元は、派遣労働者と雇用契約を結んでいる雇用元であるため、給与の支払いや社会保険の手続き等の責任を負います。なお、労働者派遣は労働者派遣法によって、派遣可能な業種や派遣期間等が定められています。派遣元と派遣先は、これらの法律を遵守しなければなりません。

・制限・規制の例(※1)
期間制限:派遣を受け入れられる期間には、原則として上限(同一の組織で最大3年等)があります。派遣元は、この制限を超えない範囲で契約を結ばなければなりません。
事前面接・履歴書確認の禁止:派遣先が派遣されてくる派遣労働者を面接して選考すること、履歴書を提出させること、特定の派遣労働者を指名することは、法律で原則禁止されています。派遣元もこれらに協力してはいけません。ただし、将来的に直接雇用することを前提とした「紹介予定派遣」の場合は例外です。

参考文献

(※1)「労働者派遣を行う際のポイント」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

個別契約

「労働者派遣個別契約(個別契約)」とは、派遣元と派遣先の間で、働く人ごとの具体的な仕事内容や勤務時間等を決める契約のことです。個別契約は派遣のたびに取り交わす必要がありますが、会社同士の共通ルールをまとめた「基本契約」を事前に結んでおけば、個別契約の内容は最小限で済ませることができます。個別契約書には、労働者派遣法第26条で定められた項目(法定記載事項)を必ず盛り込まなければなりません。

<補足>
個別契約書記載内容の一例
・業務内容・業務に伴う責任の程度
・就業事業所の名称・場所ならびに組織の名称
・派遣期間・就業時間ならびに休憩時間
・派遣先責任者・指揮命令者・苦情処理担当者の部署、役職、氏名
・派遣料金

基本契約

「労働者派遣基本契約」とは、派遣元と派遣先が今後の継続的な取引を見据えて結ぶ共通ルールのことです。実際に派遣労働を行う際には、基本契約に加えて、派遣労働者ごとに条件を決める「個別契約」をその都度結ぶ必要があります。基本契約は、労働者派遣法において締結は義務付けられていません。しかし、トラブル防止やリスク回避のために、ほとんどのケースで締結されます。

労使協定

労使協定は、使用者と労働者代表の間で締結される、書面による合意のことです。
労働者派遣の場合、派遣元は、「労使協定方式」または「均等均衡方式」のいずれかで派遣労働者の賃金待遇を決定しなければなりません。

労使協定方式では、労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づき、派遣元企業が「労働者の過半数で組織される労働組合もしくは過半数労働者代表」との間で、書面によって労働条件等を取り決めます。
均等均衡方式では、比較対象となる派遣先の直接雇用労働者を基準に労働条件等を設定します。

■労使協定に定める事項
・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲
・賃金の決定方法
 -派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般労働者の平均的な賃金(以下「一般賃金」という。)の額として厚生労働省令で定めるもの※と同等以上の賃金額となるものであること。
 -派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力又は経験等の向上があった場合に賃金が改善されるものであること。
・賃金の決定は公正な評価に基づいて決定する事
・賃金を除く待遇の決定方法
・段階的かつ体系的な教育訓練の実施
・その他厚生労働省令で定める事項

※この比較対象となる一般賃金の具体的な額、同等以上の確認方法等については、厚生労働省職業安定局長より各都道府県労働局長あてに、統計調査等を活用して毎年通知されます。

就業条件明示

労働者派遣法第34条に基づき、派遣元企業が労働者派遣をしようとするときは、あらかじめ、派遣労働者に対し、業務内容・就業場所・指揮命令者・苦情申出先等の派遣就業に必要な条件を明示しなければならないと定められています。

<補足>
明示事項(労働者派遣法第34条、施行規則第26条)
(1)当該労働者派遣をしようとする旨
(2)派遣労働者が従事する業務の内容
(3)派遣労働者が従事する業務に伴う責任の程度
(4)派遣労働者が従事する事業所の名称・所在地その他派遣就業の場所および組織単位
(5)派遣先のために、就業中の派遣労働者を直接指揮命令する者に関する事項
(6)労働者派遣の期間、派遣就業日(具体的な曜日又は日を指定すること、またはシフト表等の添付)
(7)派遣就業の開始・終了時刻、休憩時間(休憩の開始および終了の時刻を特定して記載)
(8)安全および衛生に関する事項
(9)派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
(10)派遣労働者の新たな就業機会の確保、派遣労働者に対する休業手当等の支払費用を確保するための費用負担等、労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
(11)紹介予定派遣の場合、当該職業紹介により従事すべき業務の内容、労働条件等
(12)派遣労働者個人単位の期間制限に抵触する最初の日(期間制限のない労働者派遣に該当する場合はその旨)
(13)派遣先の事業所単位の期間制限に抵触する最初の日(期間制限のない労働者派遣に該当する場合はその旨)
(14)派遣元責任者および派遣先責任者に関する事項(派遣元責任者および派遣先責任者の役職、氏名、連絡方法)
(15)派遣先が6の派遣就業日以外の日に就業させることができ、または6の派遣就業時間を延長できる定めを労働者派遣契約において行った場合は、当該派遣就業させることができる日又は当該延長することができる時間数
(16)派遣労働者の福祉の増進のための便宜の供与に関する事項
(17)派遣先が派遣労働者を雇用する場合の紛争防止措置
(18)健康保険被保険者資格取得届等の書類が行政機関に提出されていない場合は、その理由
(19)期間制限のない労働者派遣に関する事項

参考文献

・「2024年4月からの労働条件明示のルール変更 備えは大丈夫ですか?」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

安全配慮義務

「安全配慮義務」とは、会社(使用者)が、働く人(労働者)が安全かつ健康に働けるように、必要な配慮をする法律上の義務のことです。(※1)
危険および健康障害を事前に発見し、その防止対策(災害発生の結果の予防)を講ずるということが会社の義務とされており、労働契約法第5条に明記されています。(※2)

<補足>
■安全配慮義務を果たすべき範囲
安全配慮義務の対象には、企業や組織に所属する従業員だけでなく、「会社の実質的な指揮命令のもとで働いている人」全員が対象となります。
・自社の正社員、契約社員、パート・アルバイト
・直接の雇用関係にない派遣労働者や下請け企業の作業員等(受け入れている現場における安全を守る義務があります)
・海外で業務を行う従業員

■企業側の責任(※2)
・刑事上の責任:労働安全衛生法では、事業者に対して労働災害防止の事前予防のための安全衛生管理措置を定め、これを罰則をもって遵守を義務づけています。
・民事上の責任:被災労働者又は遺族から労働災害で被った損害について、不法行為責任や安全配慮義務違反で損害賠償を請求されることがあります。
・補償上の責任:労働者が労働災害を被った場合、被災労働者やその家族が生活に困らないように保護する必要があります。
・行政上の責任:労働安全衛生法違反や労災発生の急迫した危険がある場合には、機械設備の使用停止や作業停止等の行政処分を受けることがあります。
・社会的な責任:社会からの信頼性が低下や、労働災害による直接及び間接コストによって企業としての基盤が危ぶまれることとなります。

また、安全配慮義務は、労働安全衛生法の遵守だけでなく、法定基準を超えて労働災害を防止する責任も含まれます。

■企業に求められる対策(※3)
・健康診断の実施
・安全衛生教育の実施
・危険・有害業務に必要な措置の確認
・事故が発生した場合の内容・対応状況の確認

参考文献

(※1)「労働契約法のあらまし」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月22日に利用)
(※2)「リスクアセスメント等関連資料 総論」(厚生労働省)(2026年6月22日に利用)
(※3)「派遣先の講ずべき措置は…」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月22日に利用)

偽装請負

「偽装請負」とは、書類上は請負契約(委任・準委任・業務委託等)を結んでいるにもかかわらず、その実態は「労働者派遣」になってしまっている状態をいいます。労働者派遣法等に定められた派遣元・派遣先の様々な責任が曖昧になり、派遣労働者の雇用や安全衛生面等基本的な労働条件が十分に確保されないリスクが生じるため、法律で厳しく禁止されている違法行為にあたります。

<補足>
・偽装請負の例
代表型:請負契約であるにもかかわらず、発注者が作業者に業務の細かい指示を出したり、出退勤や勤務時間の管理を行ったりしているケースです。
形式だけ責任者型:職場には形式的に請負側の責任者を置いていますが、その責任者は、発注者の指示を個々の作業者に伝えるだけで判断や管理を行っておらず、実質的には発注者が直接指示しているのと変わらないケースです。
使用者不明型:業者Aが業者Bに仕事を発注し、Bは別の業者Cに請けた仕事をそのまま出します。Cに雇用されている労働者がAの職場に行って、AやBの指示によって仕事をするため、「一体だれが本当の雇い主(使用者)なのか」が曖昧になっているケースです。
一人請負型:発注者と受託者(個人事業主)で請負契約としているが、実態としては、発注者の指示を受けて働いているというケースです。

・違法になる理由
(1)実態が派遣労働になっている場合、請負業者が派遣事業許可を取得していないと無許可派遣になるため
(2)トラブルが起きた際の「会社の責任の所在」が曖昧になるため
(3)間に多くの中間業者が入ることで、中間マージンが多く発生し、労働者の賃金が不当に低くなるリスクがあるため

・対象の法律違反
(1-1)労働者派遣法違反:許可を得ずに実質的な派遣事業を行った(無許可派遣)場合
派遣元:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
派遣先:原則罰則なし
(1-2)労働者派遣法違反:派遣を受け入れられない業務(建設や警備等)で実質的な派遣を行った場合
派遣元:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
派遣先:原則罰則なし(但し、勧告・公表等の行政措置あり)
(2)労働基準法違反:間に入った業者が労働の対価を不当に吸い上げる等「中間搾取の禁止(第6条)」を行った場合
派遣元:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
派遣先:原則罰則なし
(3)職業安定法違反:発注元の社員が直接指揮命令をする等「労働者供給事業の禁止(第44条)」を行った場合
請負業者・注文主:1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金

参考文献

・「偽装請負について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

専門26業務

「専門26業務」とは、過去の労働者派遣法において、派遣期間の制限(3年ルール)が免除されていた26種類の専門的な業務のことです。以下のいずれかに該当し、かつ常用代替との関係で問題がないものとして政令で定められた業務をいいます。
1. 「その業務を迅速かつ的確に遂行するために専門的な知識、技術または経験を必要とする業務」
2. 「その業務に従事する派遣労働者について、就業形態、雇用形態等の特殊性により、特別の雇用管理を行う必要があると認められる業務」
※この「専門26業務」という区分は、2015年(平成27年)の労働者派遣法改正により完全に廃止されました。現在は、どのような業務であっても一律で「3年の期間制限」が適用されます(無期雇用派遣や60歳以上等の例外を除く)。

■26業務内訳
かつて「専門26業務」に指定されていた具体的な業務は以下の通りです。一部の業務(○印)は現在も「日雇派遣(30日以内の派遣)が認められる例外業務」として法律(施行令第4条)に残っています。
●駐車場管理等
●インテリアコーディネーター
●アナウンサー
●テレマーケティング
●放送番組等の大道具・小道具
●水道施設等の設備運転等
●放送機器等操作
●放送番組等演出
●建築物清掃
●建築設備運転、点検、整備
○ソフトウェア開発
○機械設計
○事務用機器操作
○通訳、翻訳、速記
○秘書
○ファイリング
○調査
○財務処理
○取引文書作成
○デモンストレーション
○添乗
○受付・案内
○研究開発
○事業の実施体制の企画、立案
○書籍等の制作・編集
○広告デザイン
○OAインストラクション
○セールスエンジニアの営業、金融商品の営業

参考文献

・「労働者派遣事業について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

二重派遣

二重派遣とは、派遣元から派遣された労働者を、派遣先がさらに別の企業へ派遣し、その再派遣先の指揮命令で働かせることをいいます。この場合、元の派遣先が雇用関係のない労働者を別の企業に提供していることになり、職業安定法第44条で禁止されている「労働者供給事業」に該当するため、明確な違法行為となります。

<補足>
■二重派遣が法律で禁止されている理由
・契約時の業務内容や労働条件が遵守されなくなる
・雇用責任や労災が発生した際の責任の所在が不明確になる
・中間マージンが二重に抜かれる等、派遣労働者の賃金が不当に低くなる場合がある

■罰則
・中間搾取の禁止(労働基準法第6条)
法律の例外を除き、他人の就業に介入して利益を得てはなりません。違反した場合、二重派遣を行った企業(中抜きの当事者)に1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が課されます(第118条)。
・労働者供給事業の禁止(職業安定法第44条)
許可なく労働者を他人に供給したり、その労働者を受け入れて自らの指揮命令下で働かせてはなりません。違反した場合、二重派遣を「行った企業」と「受け入れた企業」の双方に1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が課されます(第64条)。

■対策
【派遣労働者】
・指揮命令者が契約書と一致しているか確認する。
・契約内容と現状の業務に差異がないか確認する。
【派遣元】
・派遣労働者への聞き取り調査を定期的に実施する

参考文献

・「二重派遣は派遣法違反ですか」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

優良派遣事業者

「優良派遣事業者認定制度」とは、法令を遵守しているだけでなく、派遣労働者のキャリア形成支援やより良い労働環境の確保、派遣先でのトラブル予防等、派遣労働者と派遣先の双方に安心できるサービス基準を満たした派遣事業者を「優良派遣事業者」として認定する制度です。派遣元は優良な事業者であると認定され、派遣労働者や派遣先は信頼性のある派遣元を選択できる等、派遣元・派遣先・派遣労働者にメリットがあります。
この制度は、厚生労働省(国)の委託を受けた「一般社団法人 日本人材派遣協会」が事務局として運営しています。有識者と労使の代表者で構成された認証委員会が、制度の設計および認定基準等の策定を行います。派遣事業者の審査・認定を行う審査認定機関も認証委員会が指定します。

参考文献

・「人材派遣事業者の皆様へ」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

労働者派遣事業関係業務取扱要領

「労働者派遣事業関係業務取扱要領(取扱要領)」とは、厚生労働省が公開している、労働者派遣法を実務で正しく運用するための公式の解説書です。派遣事業の意義、許認可手続き、適用除外業務、派遣元の講ずべき措置、派遣先が講ずべき措置等に関する厚生労働省の法解釈が記載されています。派遣労働者を受け入れる側である派遣先が守らなければならないルールや義務(期間制限や面接禁止等)についても細かく記載されているため、派遣ビジネスに関わる全員が必ず確認すべき重要資料です。

<補足>
内容について
第1 労働者派遣事業の意義等
第2 適用除外業務等(建設・港湾・医療等の派遣禁止業務)
第3 労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置に係る手続
第4 事業報告等
第5 労働者派遣契約(契約書に盛り込むべき必須項目)
第6 派遣元の講ずべき措置等(派遣元が守るべき義務)
第7 派遣先の講ずべき措置等(受け入れ企業が守るべき義務・期間制限)
第8 労働基準法等の適用に関する特例等(残業や有給の責任分担)
第9 紛争の解決
第10 個人情報保護法の遵守等
第11 違法行為の防止、摘発
第12 違法行為による罰則、行政処分および勧告・公表
第13 行政処分を行った派遣元事業主および無許可で労働者派遣事業を行った事業主の公表
第14 その他
第15 様式集(国に提出する公式書類のダウンロード)

4. 雇用・期間に関する用語

無期雇用派遣

「無期雇用派遣」とは、派遣労働者と派遣元の間で、期限の定めのない雇用契約を結ぶ働き方のことです。
無期雇用派遣契約を締結している場合、派遣先での就業期間が終了した場合でも、派遣労働者と派遣元の雇用関係は継続します。派遣先で就業していない期間、派遣労働者は、次の就業先が決まるまで待機するか、次の就業に向けての研修等を受講します。この期間にも給与、あるいは休業手当が派遣元から支払われます。

雇用安定措置

派遣元は、同じ派遣先に3年継続して就業する見込みがあり、その後も働くことを希望する有期雇用派遣労働者に対し、以下の雇用安定措置を講じることが義務付けられています(労働者派遣法第30条)。
(1)派遣先への直接雇用の依頼
(2)新たな派遣先の提供 (能力、経験等に照らして合理的なものに限る)
(3)派遣元での無期雇用 (無期雇用派遣労働者としての登用)
(4)その他安定した雇用の継続を図るために必要な措置(有給の教育訓練、紹介予定派遣等)

※対象者ごとの義務・努力義務の区分
・同一の派遣先に1年以上3年未満の就業見込み:(1)~(4)のいずれかの措置を講じる努力義務
・派遣元での通算雇用期間が1年以上:(2)~(4)のいずれかの措置を講じる努力義務

参考文献

・「雇用安定措置について」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

クーリング期間

クーリング期間とは、労働者派遣において、同じ事業所で派遣労働者を受け入れられる期間の制限がリセットされる3カ月と1日以上の空白期間のことです。
この期間が空くことで、派遣労働者を再度受け入れることが可能になります。

<注意点>
労働者派遣法(第40条の2および第40条の3)では、「派遣労働者が正社員(常用労働者)の代わりに固定化されてしまうこと」や「本人が望まないのに不安定な派遣雇用のまま働き続けさせられること」を防ぐために、これらの厳しい期間制限を設けています。そのため、派遣先も派遣元も、法律の文面を逆手に取った「形だけのクーリング期間」による制限逃れを行うことなく、適切に運用することが義務付けられています。

5. 待遇・賃金に関する用語

同一労働同一賃金

「同一労働同一賃金」とは、同じ会社の中における「正社員(正規雇用)」と「パート・アルバイト・派遣労働者等(非正規雇用)」との間にある、不合理な格差(給与や賞与、福利厚生等の待遇差)をなくそうという制度です。どのような働き方を選んでも仕事内容に見合った納得のいく給与や待遇を受けられる環境を作ることで、誰もが多様な働き方を自由に選べる社会を目指しています。(※1)

<補足>
同一労働同一賃金において、企業には以下の3点の対応が求められています。
(1)不合理な待遇差の禁止
(2)労働者に対する待遇に関する説明義務の強化
(3)行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続(行政ADR)の整備

参考文献

(※1)「同一労働同一賃金特集ページ」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

均等待遇

仕事内容や責任の重さ、将来の転勤や異動の範囲まで、正社員と全く同じ条件で働いているパートタイム労働者・有期雇用労働者に対し、雇用形態を理由として、基本給やボーナス、その他のあらゆる待遇に差をつけることは法律で禁止されています。(※1)ここでいう全く同じ条件とは、日々の業務内容や責任の重さだけでなく、人事異動や転勤の有無・範囲まで、実質的に正社員と全く区別がつかない状態のことを指します。

参考文献

(※1)「パートタイム・有期雇用労働法の概要」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

均衡待遇

正社員と非正規雇用労働者との間に、仕事内容や異動の有無等の違いがある場合でも、その違いに見合わない不合理な格差(待遇差)を設けることは法律で禁止されています。

<補足>
給与や賞与、手当といったそれぞれの待遇の目的(何のために支払われるものか)に合わせて、以下の3つの要素を考慮したうえで、バランスが取れているか(不合理ではないか)を判断します。
(1)職務内容:日々の仕事内容や、責任の重さ・範囲
(2)職務内容・配置の変更範囲:将来的な転勤、部署異動、昇進のルールの違い
(3)その他の事情:これまでの経験、職務の成果、定年後の再雇用等の背景(※1)
均衡待遇で禁止される不合理な待遇差とは、「仕事や責任が違うから」という理由だけでは客観的に説明がつかない格差や、違いの程度を明らかに超えて非正規雇用労働者を低遇するような大きな待遇差を指します。

参考文献

(※1)「パートタイム・有期雇用労働法の概要」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

労使協定方式

「労使協定方式」とは、派遣元が労働者の代表と特別なルール(労使協定)を結び、それに基づいて派遣労働者の給与や福利厚生を決める方式です。労使協定に定める賃金については、国(厚生労働省)が毎年発表する「一般労働者の平均賃金(同じ地域・同じ職種で働く一般的な正社員の平均給与水準)」と同等以上になるように決定するとともに、長く働くことで基本給が上がっていく昇給の仕組みを設けることも義務づけられています。(※1)

<補足>
派遣元が労使協定を締結した場合には、労使協定に基づき派遣労働者の待遇を決定することで、計画的な教育訓練や職務経験による人材育成を経て段階的に待遇を改善する等、派遣労働者の長期的なキャリア形成に配慮した雇用管理を行うことができるというメリットがあります。

参考文献

(※1)「派遣労働者の同一労働同一賃金について」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

派遣料金

労働者派遣の料金とは、派遣先が派遣元に支払う料金全体を指します。
派遣料金は一般的に「派遣労働者の実働時間数」×「時間単価」で計算されます。この「時間単価」は業務内容や期間、地域等の諸条件をもとに設定されます。

マージン率

労働者派遣の「マージン」とは、派遣先が支払う「派遣料金」から、派遣労働者へ支払われる「賃金」を差し引いた金額(およびその割合)のことです。平成24年の労働者派遣法改正により、派遣元にはマージン率等の情報公開が義務付けられています。マージンには派遣元の利益にあたる部分のほか、派遣元が負担する社会保険料やスキルアップのための教育訓練費等、派遣労働者が安心して働ける環境のために重要な費用が含まれます。そのためマージン率は低いほどよいというわけではなく、その他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要です。

6. 実務・運用に関する用語

派遣先管理台帳

派遣先管理台帳とは、派遣先での就業状況を記録し適切な労務管理を行うために、労働者派遣法により作成が義務付けられている書類です。派遣先管理台帳の目的は、派遣労働者を守るため、派遣労働者の就労実態と契約内容(就業日・就業時間・就業場所・業務内容・苦情対応等)の把握・確認と、適切な業務指示・派遣元への周知、派遣元の派遣労働者管理に資することです。派遣先は記録した内容を派遣元へ定期的に通知する義務があります。これにより、派遣元も派遣労働者の就労実態を正しく管理できるようになります。

■記載内容
労働者派遣法により、派遣先は派遣労働者ごとに以下の項目を台帳に記録しなければなりません(労働者派遣法第42条)。また、派遣先は、派遣就業が終了した日から派遣先管理台帳を3年間保存しなければなりません。
(1)派遣労働者の氏名
(2)派遣元の名称、事業所名、所在地
(3)派遣就業した事業所の名称、所在地
(4)実際の労働日と始業・終業時刻(労働時間)
(5)業務の種類・内容、役職や責任の程度
(6)労使協定の対象労働者かどうかの別
(7)雇用形態の別(無期雇用か有期雇用か等)
(8)派遣先で実施した教育訓練の学習内容や時間
(9)苦情の処理状況
(10)派遣先責任者および派遣元責任者の氏名
また、上記のうち(1)(3)(4)(5)については、毎月一度、派遣先から派遣元へ通知しなければなりません。

派遣元管理台帳

派遣元管理台帳は、派遣労働者の雇用元として適正な雇用管理を行うために、派遣元が作成するものです。派遣元には事業所ごとに派遣元管理台帳を作成する義務があり、また派遣労働者ごとに法令で定める事項を記載しなければなりません。派遣元管理台帳は紙またはデータで作成し、派遣元の事業所ごとに保管します。

■主な記載内容
労働者派遣法により、派遣元は派遣労働者ごとに以下の項目を台帳に記録しなければなりません(労働者派遣法第37条)。また、派遣元は、派遣契約が終了した日から派遣元管理台帳を3年間保存しなければなりません。
・労使協定の対象労働者かどうかの別
・無期雇用か有期雇用かの別(有期雇用の場合はその契約期間)
・60歳以上の高齢者等、派遣期間制限の例外に該当するかどうかの別
・派遣先の氏名または名称
・派遣先の事業所所在地、就業場所、配属部署(組織単位)
・労働者派遣の期間、および実際に派遣就業をする日
・始業および終業の時刻
・従事する業務の種類
・派遣労働者のキャリアアップや雇用安定のために講じた措置
・実施した教育訓練の日時と内容
・派遣労働者から申し出を受けた苦情の処理内容
・紹介予定派遣である場合はその内容

抵触日

労働者派遣の期間制限に抵触する日とは、派遣労働者を受け入れた日から3年経過した翌日のことです。
抵触日が設けられた理由は、「派遣の常用代替(正社員を派遣に置き換えること)の防止」と「派遣労働者の雇用の安定」にあります。かつて労働者派遣はソフトウェア開発等の専門スキルを要する「26業務」に限定されていましたが、法改正により、原則としてすべての業種へと拡大されました。その結果、人件費を抑えるために正社員ではなく派遣労働者を継続的に使い続ける企業が増え、労働者の雇用が不安定になる問題が生じました。派遣労働者を3年受け入れている企業は、一時的な人手不足ではなく、慢性的な人手不足の状態にあるといえます。そのため、派遣は本来「一時的な人手不足の補てん」を目的とするという考え方に立ち返り、直接雇用への転換や安定雇用の促進を図るため、3年の期間制限が設けられました。

抵触日は2種類あります。
(1)事業所単位(事業所抵触日)
同じ事業所(本社、支店、工場、店舗等)において、派遣元や人を問わず、3年を超えて派遣労働者を受け入れることはできないというルールです。もしその事業所で3年を超えて「派遣労働者(別の労働者含む)」を受け入れたい場合は、過半数労働組合等への意見聴取を行うことで、さらに最長3年間延長でき、その後も更新が可能です。
(2)組織単位(個人抵触日)
同じ派遣労働者が、派遣先の「同じ組織単位(課・部署)」で就業できる期間は最長3年までとするルールです。ただし、別の部署に異動する場合は、さらに最長3年間就業することが可能です。
※組織単位の変更(部署異動)にあたっては、過半数労働組合等への意見聴取は不要です。

7. 関連団体・関連法令

労働基準法との関係

派遣労働者に適用される労働法(労働基準法等)の責任は、原則として雇用関係がある派遣元が負うのが大原則です。
しかし、実際の仕事の指示(指揮命令)を出すのは派遣先であるため、全てを派遣元の責任にすることは実態に合いません。
そこで労働者派遣法では、現場でしか管理できないことや、派遣労働者の安全のためにリアルタイムで守るべきことについて、特例として派遣先に法律上の責任を負わせるルールを定めています。

<補足>
労働者派遣法により、労働基準法や労働安全衛生法、男女雇用機会均等法等の責任は、以下のように派遣元と派遣先で細かく分担されています。
■派遣先
・労働時間等の遵守責任
・設備等の設置・管理、業務遂行上の具体的指揮命令による危険有害作業
■派遣元
・労働時間、休日の枠組みの設定
・一般健診等の雇用期間中継続的に行うべき事項や雇入れ時等の安全衛生教育

社会保険

社会保険は、病気やけが等のリスクに備えるための公的な保障制度です。
パートや派遣労働者といった雇用形態に関わらず、国が定めた一定の条件を満たした場合は全員が加入(必須)となります。
※派遣労働者の場合、実際に働いている「派遣先」ではなく、雇用契約を結んでいる「派遣元」の社会保険に加入するという点が、正社員とは大きく異なります。

有期雇用

「有期雇用労働者」とは、事業主と期間の定めのある労働契約を締結している労働者のことです。
※「パートタイマー」「アルバイト」「派遣労働者」「嘱託」「契約社員」「臨時社員」「準社員」等の名称にかかわらず、上記に当てはまる労働者であれば、パートタイム・有期雇用労働法の対象となります。(※1)

契約を更新しない場合は、契約期間が満了した時点で労働契約が終了します。有期雇用契約の期間には、労働基準法第14条により原則として3年の上限が設けられています。1回の契約は3年が上限ですが、契約更新を繰り返して通算5年を超えた場合、労働者側から請求があれば、期間の定めのない「無期雇用契約」に切り替えなければならないルール(労働契約法第18条)があります。

■有期雇用で対応が必要なこと
・労働条件の明示(契約書・通知書の交付)
・就業規則の用意
・社会保険・労働保険への加入

参考文献

(※1)「パートタイム・有期雇用労働法の概要」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)

36協定

労働基準法では、働く時間の上限(1日8時間・週40時間)や休日日数が厳しく定められています。
これを超えて従業員に残業(時間外労働)をさせたり、休日出勤をさせたりする場合に、事前に企業と労働者側で締結し、労働基準監督署(労基署)へ届け出なければならない労使協定が「時間外・休日労働に関する協定届」、通称「36(サブロク)協定」です。
※これを出さずに残業をさせると、たとえ残業代を全額払っていても法律違反(拘禁刑または罰金)になります。

■派遣労働者と36協定
・結ぶのは「派遣元」:派遣労働者の36協定は、実際に働いている派遣先ではなく、雇用元である派遣元が派遣労働者との間で締結し、労基署に届出をしています。
・守る(違反で処罰される)のは「派遣先」:派遣先は、派遣元が結んでいる36協定の範囲内でしか残業を命令できません。

参考文献

・「36(サブロク)協定とは」(厚生労働省)を加工して作成(2026年6月18日に利用)

産前産後休業

「産前産後休業(産休)」とは、母体保護を目的に労働基準法で保障されている公的な休業制度です。正社員、契約社員、パート・アルバイト、派遣労働者等、雇用形態に関わらず「全ての女性労働者」が取得できます。
※「入社1年未満だから取得できない」といった社内ルールで拒否することは法律上できません。

(1)産前休業:出産予定日の6週間前(双子以上の場合は14週間前)から、本人が希望すれば休業できます。なお、出産当日は「産前休業」にカウントされます。
(2)産後休業:出産の翌日から8週間は、原則として就業することができません。この「出産」とは、妊娠4カ月以上の分娩をいい、死産や流産も含まれています。
※本人の意思に関わらず、法律として、原則就業が禁止されています。ただし、産後6週間を過ぎた時点で、本人が働きたいと希望し、医師が問題ないと認めた業務に限り、特例で復職できます。

<補足>
・社会保険料の全額免除:産前・産後休業中の社会保険料は本人負担分、会社負担分ともに免除されます。
・出産手当金の支給: 会社の社会保険に加入している場合、産休中で給与が支給されない期間、健康保険から給与の約3分の2相当額が「出産手当金」として支給されます。(※1)

参考文献

(※1)「妊娠出産・母性健康管理サポート」(厚生労働省)(2026年6月18日に利用)